あなたはとっても高い所から落ちました。
手には傘を持っています。
はい、想像して下さい。
もしかして…傘を開けばゆっくりフワフワ降りてくることができるんじゃないかな?
運がよければ、そういうことだってありえるかも…
傘にぶらさがってフワフワ降りてくる自分が想像できた人。
どうぞこの続きをお読み下さい☆
違う自分を想像してしまった人。
あなたもどうぞ、この続きを読むことができる人です。
でも、初めからこんなバカげた質問、考える価値もないと思ってしまった人。
実は、あなたにこそぜひこの続きを読んでいただきたい!
大切なのは想像力。
それをぜひ知ってもらいたいから…
さて、今回ご紹介する本は、もうみなさんご存知。
アメリカの作家ライマン・フランクリン・バウムが1900年に出版した可笑しくて楽しい物語。
ミュージカル映画にもなりましたね。
そう、*(キラキラ)*『オズの魔法使い』*(キラキラ)*です☆
1900年といえば日本では明治時代。
夏目漱石が英国留学に旅立った年でもあり、ライト兄弟が飛行機の初飛行に成功するのはこの3年後。
アメリカで女性参政権が認められる20年も前のことです。
さて、この「オズの魔法使い」。
実はオズ・シリーズといって、たくさんの続編があるんですよ。
知ってました?
まずはカンザスの片田舎で、農場を営むおじさんとおばさんと一緒に暮らす女の子、ドロシーが登場する記念すべき第一作目。
たつまきで子犬のトトと一緒に家ごと巻き上げられ、知らない国に落っこちてしまうドロシー。
しかも落っこちた時、東の魔女という悪い魔女が家の下敷きになってしまうんです。
そう、そこは魔女やマンチキン(!)や翼のあるサルたち(!!)が暮らす不思議な不思議なオズの国。
脳ミソのないかかしや、心臓のないブリキのきこり、臆病なライオンを連れてドロシーはカンザスに帰る方法を教えてもらうために、大魔法使い、オズの魔法使いが住むというエメラルドの都を目指します。
ちなみに「オズ」(OZ)という名前は、作者の出身地がニューヨーク(NY)なため、そのアルファベットをひと文字づつずらしたのでは(N→O、Y→Z)って言われています。
二作目『オズの魔法使いと虹の国』では、魔法使いのおばあさんに育てられたチップという男の子が主人公。
おばあさんが手に入れた、何にでも命を与えることのできる魔法の薬を勝手に使って、カボチャ頭の人形に命を吹き込んでしまったチップ。
そのせいでおばあさんのもとを逃げ出さなくてはならなくなり、カボチャ頭のジャックと一緒にエメラルドの都に行くことにします。
ところがその頃、エメラルドの都でオズの国の王様になっていた、かかし王(笑)は、女の子たちを率いるジンジャー将軍の(ってジンジャー将軍も女の子なんですが)反乱にあい大ピンチ!
ブリキのきこりやヒキノバシ・ウォグルムシ(?)や、空飛ぶ剥製の首ガンプが登場して、一作目以上にハチャメチャで楽しい展開♪
昔、オズの魔法使いがどこかに隠したという、正統なオズの国の王女さま、オズマ姫の探索も加わって、チップの出生の秘密も明らかにされます☆
この続編では登場しなかったドロシーも、読者の強い要望で、三作目からはまたまた登場。
三作目、『オズの魔法使いとオズマ姫』ではオーストラリアに向け船旅をしている途中で大風(台風?)にさらわれ、またしても見知らぬおとぎの国に流れついてしまうドロシー♪
何度もこんな目にあっても全然めげないドロシーがいいです☆
食べ物が無くったって、ちょっと歩くとお弁当のなっている木が生えてたりしますし(笑)
でも六作目の『オズの魔法使いとエメラルドの都』では、なんとドロシーのおじさんの農場が経営危機に!?
家も農場も借金のかたに取られてしまうかもと、意外な展開☆
もちろん、オズマ姫をはじめ、ドロシーにはオズの国に力になってくれる仲間がたくさんいるのですが、そのオズの国にも恐ろしい悪の手が忍びよろうとしていて、さあ大変!
…そう、大変なんだけれど、なぜか笑ってしまうのがこの物語の魅力的なところです☆
唐突ですが、私には甥っ子がいるんですね。
その子がまだ三歳くらいの時、二人っきりで留守番していたことがあるんです。
それで私は甥っ子に靴をはかせて庭に連れ出し、その辺で拾った木の枝でひたすら地面に線を引いて走り回りました。
グルグルを書いたりグニャグニャにしたりして。
これが大うけ♪
何が楽しいんだか、その棒の先を追いかけてくるんです。
いや、本当はこの楽しさ、知っていました。
言葉ではうまく言い表わせませんが、こういうのの楽しさってありますよね?
この「オズの魔法使い」の楽しさって、これに近いんです☆
おもちゃやテレビの楽しさもあります。
洗練された文章やよく工夫された物語も読んでいて楽しいですよね。
でも、「オズの魔法使い」の魅力って、木の枝で地面に線を引く。どんどん線が生まれる。それが楽しい。笑い声が起きる。
その楽しさ。
想像力の楽しさなんです♪
地面に線を引いて何が楽しいんだ?
ブリキのきこり?
魔法使い?
そんなバカげたことを…
小さい子と一緒にいる時、こちらが笑いかけると笑顔で返してくれます。
では悲しい顔をしたら?
言葉を使わなくてもこちらの感情は伝わります。
それは、その子が想像力で自分も同じような気持になっているからじゃないんでしょうか?
時にはちょっと乱暴なシーンもあります。
ブリキのきこりが愛する娘との結婚を邪魔され、魔法で体をバラバラにされていくとか。
大人だったら、ちょっと違う方向で想像してしまいそう(苦笑)
でもそこはそんな目にあっても全然めげずに、そのつどブリキの体にしてもらうたくましいブリキのきこりを想像して下さい☆
このオズの物語は、決して形通りの進み方はしませんのでご注意を。
悪い西の魔女に捕まった時だって、ブリキのきこりもかかしもやられてしまったのに、魔女の館で働かされるドロシーは、自分の銀の靴がとくいなので、お風呂と寝る時以外は脱がないのです。
ドロシーけっこう現実的☆
大人がお子さんに読んであげるにはピッタリ!
ポプラ社のシリーズは、小学校低学年から読める作りになっていますので、読書の魅力を教える意味でも、オススメだと思います♪
このシリーズ、なんと十四冊もあるので、紹介はもう少し続けたいと思います。
もしよろしければ、もう少しお付き合い下さいませ。
ライマン・フランク・バウム 著
守屋 陽一 訳
ポプラ社文庫
手には傘を持っています。
はい、想像して下さい。
もしかして…傘を開けばゆっくりフワフワ降りてくることができるんじゃないかな?
運がよければ、そういうことだってありえるかも…
傘にぶらさがってフワフワ降りてくる自分が想像できた人。
どうぞこの続きをお読み下さい☆
違う自分を想像してしまった人。
あなたもどうぞ、この続きを読むことができる人です。
でも、初めからこんなバカげた質問、考える価値もないと思ってしまった人。
実は、あなたにこそぜひこの続きを読んでいただきたい!
大切なのは想像力。
それをぜひ知ってもらいたいから…
さて、今回ご紹介する本は、もうみなさんご存知。
アメリカの作家ライマン・フランクリン・バウムが1900年に出版した可笑しくて楽しい物語。
ミュージカル映画にもなりましたね。
そう、*(キラキラ)*『オズの魔法使い』*(キラキラ)*です☆
1900年といえば日本では明治時代。
夏目漱石が英国留学に旅立った年でもあり、ライト兄弟が飛行機の初飛行に成功するのはこの3年後。
アメリカで女性参政権が認められる20年も前のことです。
さて、この「オズの魔法使い」。
実はオズ・シリーズといって、たくさんの続編があるんですよ。
知ってました?
まずはカンザスの片田舎で、農場を営むおじさんとおばさんと一緒に暮らす女の子、ドロシーが登場する記念すべき第一作目。
たつまきで子犬のトトと一緒に家ごと巻き上げられ、知らない国に落っこちてしまうドロシー。
しかも落っこちた時、東の魔女という悪い魔女が家の下敷きになってしまうんです。
そう、そこは魔女やマンチキン(!)や翼のあるサルたち(!!)が暮らす不思議な不思議なオズの国。
脳ミソのないかかしや、心臓のないブリキのきこり、臆病なライオンを連れてドロシーはカンザスに帰る方法を教えてもらうために、大魔法使い、オズの魔法使いが住むというエメラルドの都を目指します。
ちなみに「オズ」(OZ)という名前は、作者の出身地がニューヨーク(NY)なため、そのアルファベットをひと文字づつずらしたのでは(N→O、Y→Z)って言われています。
二作目『オズの魔法使いと虹の国』では、魔法使いのおばあさんに育てられたチップという男の子が主人公。
おばあさんが手に入れた、何にでも命を与えることのできる魔法の薬を勝手に使って、カボチャ頭の人形に命を吹き込んでしまったチップ。
そのせいでおばあさんのもとを逃げ出さなくてはならなくなり、カボチャ頭のジャックと一緒にエメラルドの都に行くことにします。
ところがその頃、エメラルドの都でオズの国の王様になっていた、かかし王(笑)は、女の子たちを率いるジンジャー将軍の(ってジンジャー将軍も女の子なんですが)反乱にあい大ピンチ!
ブリキのきこりやヒキノバシ・ウォグルムシ(?)や、空飛ぶ剥製の首ガンプが登場して、一作目以上にハチャメチャで楽しい展開♪
昔、オズの魔法使いがどこかに隠したという、正統なオズの国の王女さま、オズマ姫の探索も加わって、チップの出生の秘密も明らかにされます☆
この続編では登場しなかったドロシーも、読者の強い要望で、三作目からはまたまた登場。
三作目、『オズの魔法使いとオズマ姫』ではオーストラリアに向け船旅をしている途中で大風(台風?)にさらわれ、またしても見知らぬおとぎの国に流れついてしまうドロシー♪
何度もこんな目にあっても全然めげないドロシーがいいです☆
食べ物が無くったって、ちょっと歩くとお弁当のなっている木が生えてたりしますし(笑)
でも六作目の『オズの魔法使いとエメラルドの都』では、なんとドロシーのおじさんの農場が経営危機に!?
家も農場も借金のかたに取られてしまうかもと、意外な展開☆
もちろん、オズマ姫をはじめ、ドロシーにはオズの国に力になってくれる仲間がたくさんいるのですが、そのオズの国にも恐ろしい悪の手が忍びよろうとしていて、さあ大変!
…そう、大変なんだけれど、なぜか笑ってしまうのがこの物語の魅力的なところです☆
唐突ですが、私には甥っ子がいるんですね。
その子がまだ三歳くらいの時、二人っきりで留守番していたことがあるんです。
それで私は甥っ子に靴をはかせて庭に連れ出し、その辺で拾った木の枝でひたすら地面に線を引いて走り回りました。
グルグルを書いたりグニャグニャにしたりして。
これが大うけ♪
何が楽しいんだか、その棒の先を追いかけてくるんです。
いや、本当はこの楽しさ、知っていました。
言葉ではうまく言い表わせませんが、こういうのの楽しさってありますよね?
この「オズの魔法使い」の楽しさって、これに近いんです☆
おもちゃやテレビの楽しさもあります。
洗練された文章やよく工夫された物語も読んでいて楽しいですよね。
でも、「オズの魔法使い」の魅力って、木の枝で地面に線を引く。どんどん線が生まれる。それが楽しい。笑い声が起きる。
その楽しさ。
想像力の楽しさなんです♪
地面に線を引いて何が楽しいんだ?
ブリキのきこり?
魔法使い?
そんなバカげたことを…
小さい子と一緒にいる時、こちらが笑いかけると笑顔で返してくれます。
では悲しい顔をしたら?
言葉を使わなくてもこちらの感情は伝わります。
それは、その子が想像力で自分も同じような気持になっているからじゃないんでしょうか?
時にはちょっと乱暴なシーンもあります。
ブリキのきこりが愛する娘との結婚を邪魔され、魔法で体をバラバラにされていくとか。
大人だったら、ちょっと違う方向で想像してしまいそう(苦笑)
でもそこはそんな目にあっても全然めげずに、そのつどブリキの体にしてもらうたくましいブリキのきこりを想像して下さい☆
このオズの物語は、決して形通りの進み方はしませんのでご注意を。
悪い西の魔女に捕まった時だって、ブリキのきこりもかかしもやられてしまったのに、魔女の館で働かされるドロシーは、自分の銀の靴がとくいなので、お風呂と寝る時以外は脱がないのです。
ドロシーけっこう現実的☆
大人がお子さんに読んであげるにはピッタリ!
ポプラ社のシリーズは、小学校低学年から読める作りになっていますので、読書の魅力を教える意味でも、オススメだと思います♪
このシリーズ、なんと十四冊もあるので、紹介はもう少し続けたいと思います。
もしよろしければ、もう少しお付き合い下さいませ。
ライマン・フランク・バウム 著
守屋 陽一 訳
ポプラ社文庫