私的図書館

本好き人の365日

『殉愛』って本について

2014-11-16 21:54:09 | 本と日常

百田尚樹さんが歌手で司会者としても有名だった、故やしきたかじんさんのことを書いた本『殉愛』(幻冬舎)が売れているそうです。

田舎の本屋にもたくさん並んでいました。

私も読みましたが、途中から苦痛になってきて、パラパラと斜め読み。また最後が後味悪かった。

あまり本の悪口は書かないようにしていますが、これはダメでした。個人的に合わない。週刊誌みたいな本でした。

そのくせけっこうなお値段をとります。

誰と誰がケンカしてもいいけど、関係ない奴が「作品」て形で読者に反論や他人を攻撃する文章を見せんなよ。

それはお前らだけでやってくれ(あくまで個人的な感想です)。

 

エッセイなどでグチをこぼしたり、腹の立つことを並べたり、こんな下品な人にはなりたくないわと自分の価値観を主張したりする作品はありますが、そういうのはどこか痛快で、読者の共感を得る「魅力」を備えていなくてはお話になりません。

佐野洋子さんとか森茉莉なんてあそこまで行くとまさに痛快。

言葉の、文章の力を感じます。

作品というわけではありませんが、作家の柳美里さんが雑誌「創」の原稿料未払い問題を、ご自身のブログで告発されていて、その問題が解決するまでの一連の「創」編集長とのやり取りを私も読みましたが、問題が深刻なので失礼にあたるかも知れませんが、文章としての「魅力」がありました。

作者の体の中から出てきている言葉には力がある。

あとブログという性格もありますが、相手にちゃんと反論の余地を残しているのも大きいかったです。ちゃんとコミュニケーションになっている。

残念ながら百田尚樹さんの文章は、ほとんどが伝聞ということもありますが、一方的で、作為に満ちた、どこかヘイトスピーチを連想させる、自分のリングで相手をぼこぼこにして悦に入っているような文章にしか読めませんでした。

やしきたかじんさん司会の「そこまで言って委員会」て番組好きだったから残念なんですよね。

やっぱり三宅先生(政治評論家の三宅久之さん)が亡くなった時点で終ってた方がよかったな。

 

「文は人なり」といったのはフランスの数学者で博物学者のビュフォンだったかな?

発言がいろいろ話題になる方の最新刊だったので、ちょっと辛口コメントになってしまいました。

お金のある人は亡くなってからも大変ですね。

私はお金のない苦労しか知りませんけど(苦笑)

お金があってもなくても、どうせいつかは土の中。

それなら人の悪口をいってないで、笑って過ごしたいものです。

先日中国で行われたAPEC首脳会議。

日中の首脳が無愛想な顔で握手している姿が報道されましたが、大人げないというか、ユーモアが足りませんね。

他人を非難したって、他人は変えられないんだから。

 

 

 ニコッと笑えばニコッと返ってきます。

 もしニコッともしてくれなかったときは、

 その人は今とても辛いんだと理解してあげればいいのです。

 

     カオリ・ナラ・ターナー (ハリウッドで活躍するメーキャップ・アーティスト)