監督・主演 クリント・イーストウッド
アメリカで今公開中で、評判も興行成績も上々。日本では、GW公開。試写会でした。
内容的には地味なのに、よくアメリカで流行ったなあ。
きちんと良くできた骨太の作品でした。
試写状には、「ラストは明かさないで下さい」とあって「衝撃のラスト」扱いだったけど、冒頭のシーンから伏線張ってて、そこまで至る過程が丁寧に描かれているので、あのラストしかあり得ない内容だった。
ラオス出身のタオ族を扱っていたけど、ギャングはメキシコ人も黒人も出てくる。イーストウッド演じるウォルトは白人の人種差別者という設定なんだけど、古くからの友人を(字幕によると)「イタ公」と呼び自分は「ポーランド野郎」と呼ばれてるから、白人至上主義者というより、口の悪い爺さん達という感じ。他民族に対しての接し方も差別というより、無邪気な区別という感じ。
自分も年を取ってきたせいか、近所の連中の質が悪くなり、自分の孫とはいえ不謹慎な服で奥さんの葬式に出てこられたら、ブルドックのように低く唸るウォルトの気持ちもよく分かる。
溝ができてしまった息子たちはそれぞれ成長して、いい家に住んでて、孫たちは口が悪くて、今度大学生になる孫娘はヘソピアスに鼻ピアスなのに、自宅での夕食後、カメラのワンフレームに収まる位置に、それぞれ別の事をしてるけど、ちゃんと家族4人が収まっていたので、案外いい家族かもしれない。「グラン・トリノ」の行方も(まあしょうがないか)って感じだったし。長男の奥さんは、「ロッキー・ザ・ファイナル」でロッキーの恋人未満の女の人だった。
自国でない国で生きて行く民族の難しさ、関わる他民族の難しさ。自分の民族のギャングに所属しないとやられっぱなし・・・。
スーの「女は適応能力があるから大学に行く。男は刑務所行き。」という言葉が心に残る。あの後、タオはちゃんと生きて行けよ! スーは、傷ついたけど頑張りそうだ。
イーストウッド、78歳!すごい78歳だ。音楽も自分だ。ローハイドで主人公してた時、いったい何人がこんなすごい人と思っただろう。
「チェンジリング」も行こうっと。