5歳まで日本で育って、その後イギリスに渡り帰化した、日系イギリス人の作家の作品で、映画化されて評価が高い「日の名残り」も「私を離さいで」も観てない。
題材としてはSFなので、綾瀬はるか主演のドラマをちょっと観たら、“コテージ”という場所が、バリバリの日本の大きな農家だったのであまりの違和感で、小説を読んでみた。
読み終わってみると、日本の農家で別によかったんだあって感じ。
この小説が発表されたのも、マイケル・ベイ監督でユアン・マクレガーとスカーレット・ヨハンソンが主演の「アイランド」の公開も2005年だ。時代的背景があるのか、偶然か・・・。
そうかあ、「アイランド」からもう10年もたってたのかあ。結構、面白かったよ。
この「アイランド」と題材は同じ。
ただ、「わたしを離さないで」は、SFというより、映画の解説にあるように「傷つきながら恋と友情をはぐくみ、希望や不安に揺れる男女3人の軌跡をたどる」心象をつづる小説だった。
だから、なぜこんな仕組みが出来上がったのかは、最後にチョロッと出てくるだけで、きちんとした背景も構成もない。“提供”のための育てられてるから、仲間内の話に終始してて、逃げようとも思わないし、外部世界(と言っても20歳過ぎたらそこで暮らしてるのに)へのアピールもなく、ただ死を待ってるだけ。教育の恐ろしさなんでしょうか?
5歳位から25歳位までの、仲間同士の友情と愛情が、イギリスの風景と風の中で淡々と進んでいるだけだった。
全然、SFじぁなかった。