2018/10/13 谷川・一ノ倉沢4ルンゼ
~ 山行前の回顧録 ~
山行の数日後に込み入った仕事が控えていて、念の為にと前日同僚と仕事を共有。
これで大丈夫。と安心した反面、
「あれ?これってなんか身辺整理?」
と思い至り、少しだけ嫌な予感があったのだけれども、パ-トナ-には黙っておくことにした。
- おしまい -
紅葉シ-ズンの谷川。
ロ-プウェイの駐車場は夜間閉鎖のため、臨時駐車場は夜明け前から相当な賑わい。
続々とヘッドランプが隊列を組んで進んでいく。
これはもしや、たいへんな混雑かも。
ヘッドランプが暗闇を切り裂くこの感じ。
あの頃のような高揚も意志もないけど、やはりこうでなきゃ。
マチガ沢あたりで前後を行く灯りもなくなる。
「警笛ならせ!」の道路標識を過ぎると、眼前に広がる一ノ倉の舞台。
2ルンゼ、3ルンゼとトレ-スしたならば、やはり次は4ルンゼ。
本谷バンドを渡って上部に抜ける計画。
初イチノクラのkojくんとsztmさんと。
テ-ルリッジはいつも通り。
秋空に紅葉も映えるが、「紅葉アタリ年」ではないみたい。
前日の雨の影響もあり烏帽子スラブは結構濡れていた。
南稜テラスまで、烏帽子奥壁の取付き確認などsztmさんは予習に余念がない。
kojくんはテンションが高め。
sakも初イチノクラのときは興奮したなぁ、と郷愁。
本谷バンドをロ-プを出してトラバ-ス。
トラバ-スしてたら、下部からパ-ティ-が上がってきて、本谷の雪渓が消えた事を知る。
自身、下部は以前登っていることもありノ-マ-ク。
今年は春先に残雪が多いとの情報が頭に残っていて、情報収集もしていなかった。
kojくんは下部の幻の大滝に興味がありそうだったので申し訳なかったなと反省。
F滝はいつも水量がショボショボだけど、今日は水流多め。
左を巻き気味にリッジにを行く。
F1はガイドでは右からとあるけど、支点が見当たらず不安なので、sztmさんには確実に支点のある左草ルンゼを上がってもらう。
後続は水流沿いをフリ-で我々を追い抜いて行った。一番合理的なのかもしれない。
後塵を拝し、あわてても仕方ないのでここで休憩。
F2は水流左。
F3も水流左。
完全に沢登の世界だ。
F4に着くと、先行パ-ティ-が登り始めたところだった。
しばらく様子を伺う。
ル-トは明瞭だが、確実に濡れる。
しかも頭から水流を被っている。
~ 核心部での個人的な回顧録 ~
一段上がってのトラバ-スは支点プアのチョイ怖。
シャワ-となる場面では支点も豊富だが、ヌメっているので慎重に。
早く抜けてぇ-。
と気が急くものの、確実に足を置いて水流を渡るとひと登りで終了点。
しかしながら、支点はボロボロ。
足元の岩にスリング巻いてビレイ。
そしてここからが(心理的な)核心。
とにかく寒い。
寒すぎて、もう下山後のラ-メンのことしか頭に浮かばない。
「家系が喰いてぇ。」
そんな中、セカンドのkojくんがシャワ-登攀で吼えるのを聞いて、「若いっていいな」と”ほっこり”した。
- おしまい -
F5は乾いた右岸リッジを巻き上がり、F6手前の広場で登攀は終了。
思い思いに靴を履き替え行動食を口にするが、寒くて咀嚼がぎこちない。
ここから右手の草付を適当に登っていく。
適当に、というものの時に結構な傾斜があるので、要注意。
草付を登り始めて1時間ほどで一ノ倉尾根の踏み跡。
そこから40分ほどで一ノ倉岳。
「みんな、今日も覚悟してね♪」
抱返り沢に続いて、ヘッデン山行が濃厚。
kojくんは2度目の会山行ながら、「ヘッデン率100%」
それよか、バテないんだから凄いよねぇ。
~ ヘッデンについての回顧録:sakの場合 ~
ヘッデン山行を指折り思い起こすと、”マイベスト山行”がズラリと並ぶ。
それらに共通するのは、「出し切った」と思える爽快感。
苦しい思いは誰しもしたくはない。
反面、自身の成長を実感できるのもこういう時なのではないだろうか。
それが「苦闘の美味」かと思う。
- おしまい -
ガスが濃くなる中、明るいうちに肩の小屋。
ヘッデン頼りでの岩場下降を嫌って、下山は天神尾根から田尻尾根。
これは、大アタリ。
さしたる困難もなく、肩の小屋から2時間半で下山。
ヘッドランプが暗闇を切り裂くこの感じ。
繰り返しの日々も、孤独と戯れる時も
あの頃のような高揚も意志もないけど、今も僕を歩かせる。
やはりこうでなきゃ。
sak
~・~・~<感想>~・~・~・~
去年登ったのは幽ノ沢だったので,一ノ倉に来たのは2年ぶり.なんだかんだで今年は4ルンゼを登り,結局毎年谷川の岩壁を楽しめているのは間違いなくsakさんのおかげです. 今回は骨のあるピッチをすべてフォローだったので楽させてもらいました.
F4のトラバースをしているときに,数年前の二ノ沢の大滝と同じような冷た~い水を浴びるピッチのリードを振って申し訳なく思っていましたが,計画を立てたのはsakさんなので大丈夫っしょ!と勝手に一人納得してました.
チャンスがあれば来年以降に,本谷下部から4ルンゼをつなげに来られればいいかなぁなんて思ってます.その時のパートナーはkojさんはじめ期待の新人さんたち...かな?
szt(m)