きままな雑記帳

ごく普通のあんちゃんのきままに記す日常日誌

国鉄木原線時代の懐かしいお話-今はなき上総中野駅での夜間滞泊-

2017-01-27 09:31:53 | 鉄道
先日、いつものワンコ散歩で普段は交通量が多かったりするので行かない上総中野駅に行ってきました。
中野商店街の道は昔ながらの道路で歩道専用も確保されていない狭い道幅。
それを我が家のワンコのような大型犬を連れて散歩はなかなか骨の折れる作業なんです。



今回は地域の広報誌にも駅周辺にお試しのコミュニティ施設を作るらしい記事を読んだので、どうなるのかと思い足を伸ばしてみました。
足を伸ばしてはみたものの、とくに依然と変化のない上総中野駅周辺。



まだまだこれからのようです。
せっかく来たので、ワンコとともに駅周辺を散策。
小湊バスもお客待ちしています。
小湊鉄道側の側線跡をじっくりと眺めながら、西畑方向にある駐車場へと足を向けました。
私が小学生時代、たしか駐車場の奥周辺に食堂があったような・・・。
そんなことを思い出しながら奥へと歩を進めます。

じつは以前から気になっていたのが弓木の踏切と駅までの間にある建物や畑。
たぶん近所の人の所有なんだろうけど、たしか昔はもっと建物があったような・・・と気になっていたのでした。
それがなんとこの日、ひょんなことから謎が解けたのです。

奥の畑には手前に大きな井戸の跡。
畑はシカやサル除け用にヒモなどで仕切りがされていて、通常は竹の棒を四方に立てるのですが、この畑はなんと使用済みのレールが代用されてました。
さすが線路脇の畑。

そんなことを感心しながら観察していると、作業着姿のおじさんがひょっこり現れました。
私は(やばい、勝手に畑に入って来るな!!と叱られるかな)と怒られるのを覚悟してましたが・・・。

「ここらじゃ見ない犬だな、どっから来た?」と尋ねるおじさん。
私はややひるみながらも「〇〇から来ました、なかなかこっちまでは来ないんですよ。この畑は今日が初めてなんですが・・・」とお返事すると。
「あぁ、それじゃ〇〇の方に住んでるんだな。〇〇知ってるか?俺、若いころ、そいつと仕事してたんだよ」とぶっきらぼうながらもフレンドリーに語るおじさん。
私も当初のビビりもなくなり(叱られる心配がなくなったので)、会話に付き合います。
「お前、年齢いくつぐらいだ?もしかしたらうちの娘のこと知ってるか?」と尋ねてくるおじさん。
私は自分の年齢と名前を話すと「あー、それじゃうちの娘と同級じゃねーか!!」と急に笑顔になって身を乗り出すおじさん。
どうやら私の保育園から中学生までの同級生の親父さんでした。
とはいっても、お互い初対面です。
たぶん父兄会などで親同士は顔を合わせたことがあるのか、私よりも私の家族のことに詳しい親父さん。
「今どうしてんだ?」と尋ねられたので、「体調を崩して療養に実家に戻ってます」とお話しました。

そんな近況報告から話題は駅周辺の歴史話になりました。
親父さん曰く「うちは駅の裏側だからよ、よく『駅がうちの玄関で線路は庭だ』と自慢してたんだよ」と。
たしかに行ったことはなかったのですが、おじさんが教えてくれた家の場所は駅に本当に近い。
そういえば子供の頃、駅が近くて便利でいいなぁと羨ましがっていたっけ(*´▽`*)
駅が近い関係からか鉄道関連の歴史も詳しいようで、国鉄時代の木原線について教えてくれました。

「国鉄の木原線時代はさ、夜の11時頃に中野駅に4両編成で木原線が終電でやってくるんだよ。それで1番、2番(当時の3番ホームと現在の側線)に2両ずつに配置して、早朝始発列車として出ていくんだ。ほら、駅のいすみ鉄道側に小屋があるだろ。あれが詰所」

これですね。



「でも、あの詰所だけじゃ手狭だってことで、今は畑のここに官舎を建てたんだよ。ここで職員が寝泊まりしてたんだな。ところがいすみ鉄道になる時に、いすみ鉄道は中野駅での夜間滞泊はしないってことで、官舎を更地にしてもらって、現在は俺が畑にして道楽してるんだよ」

なるほどね、だから畑の周りにレールが使われているのか。
もしかしたら私の記憶にある駐車場奥の食堂も、その職員対応のために営業していた食堂なのかもしれません。
官舎っていうくらいなので国鉄使用なのでしょうが、小湊鉄道も当時は同様に夜間滞泊していたと思います。
もしかしたら、小湊鉄道は駅舎を所有しているので、職員用の詰め所を駅舎内に設けていたのかもしれませんね。

意外な処で意外な人物と合い意外な話題で盛り上がりました。
これも散歩の愉しみの一つ。

親父さん、線路脇の畑で里芋などを栽培しているそうで、近所の保育園児に収穫体験をさせてるとのこと。
「ここは駐車場の奥にあって車は入って来れないだろ、だから子供も安心して畑で収穫できるし間近にいすみ鉄道が走るから子供も喜ぶんだよ(*^▽^*)」と微笑みながら語る親父さん。
すっかり優しいおじいちゃんの顔になってました。

「この辺りもサルやらシカが出るようになったからさ、用心はしてるんだが、薪を燃やしたニオイがいいようなんだよな。どうも燃えたニオイが奴らは苦手らしくて夕方燃やしておくと翌朝は畑には来てないようなんだよ。」
そう語りながら、我が家のワンコを撫でる親父さん。
なんだか渋くていい雰囲気を醸し出してます。

「またチョクチョク遊びに来いよ。健康のために犬の散歩がてらさ、俺も畑に居るからまた話そうぜ」と最後にお誘いの言葉をいただいて自宅に帰りました。

まだまだ懐かしい中野駅周辺の歴史を聴けるかもしれません。
また立ち寄るしかないな・・・と新たな楽しみを見つけた睦月の夕暮れでした。
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