コブシの花の咲くころは

平日の静かな山を気ままに歩いた記録です

房総 その2  ~  着生ランの森

2015-12-17 19:44:27 | 登山



・・・・前回の続きです



時々、上を見げながら登っていた時でした。

モミかツガだったと思いますが、高い枝に何か着生しているような
一本の大木がありましたので、さっそく双眼鏡を取り出して見てみました。







何本かの枝にカシノキランのような葉が見えます。










よく似たシダ類もあるので、しっかり観察していると、たしかにシダの仲間もありますが
この株には、着生ラン特有の一本の根が見えますね。
葉っぱの感じは間違いなくカシノキランの雰囲気です。









ここの株も、一番下の株に着生根が見られます。

 きっとカシノキランだと思います。  やったね房総で2ヵ所目です。

着生してから年月がたっていない若い感じです。
この株の花が咲いたら、三脚、望遠レンズを持ってこないとだめでしょうね。

さい先良いので、これから先も何か期待できそうです。




・・・・追記


次の週に再び確認したところ、この株はカシノキランではありませんでした。
たぶんヒメノキシノブか何かの羊歯の仲間でした。



















だいぶ登ってきました。 周辺の森を見下ろすと、とても山深い森の中へ来た感じがします。
畏怖の念を抱くような森の風景です。 太古の時代から変わらず現在に至っているのでしょうか・・・・

こんな深い森に到達するとは思っていませんでした。  



やっと稜線に着いたようです。


















尾根の上ですので陽射しは注ぐのですが、森の中はシットリしています。
シダが多く、樹にはマメヅタやコケがいっぱい着生している・・・・・

以前にカシノキランを見つけた森と一緒です。
目を見開いて、注意深く一本一本、樹を見上げながら歩いていきます。

マメヅタランなどは、陽射しが多少当たる、比較的風通しの良い場所を好むので
樹の高い所や日の当たる岩場なども覗きながら歩いていたら一本の老木が目に留まりました。

上の方に着生しているじゃないか!


一目見ただけでわかりました。  これは探していたマメヅタランだ!

うん、この感じ・・・間違いないです、遠くから見てもわかります。
房総では初めて見つけました。 






..




























樹の高い所ですがビッシリと広い範囲に着生しています。
樹に登って、触ってみたい感じですけど無理そうです。

マメヅタランは以前に奥久慈で見つけましたが、花を見るまでは半信半疑でした。
株を見つけてから2年後に花を確認したのですが、その間ネットで写真を何度も見たりして
マメヅタとの違いを勉強していました。
いざ本物を見たら、シダ類のマメヅタとは感じが違うことがよくわかりました。

胞子葉がないことでもわかりますが、マメヅタランの葉はマメヅタより少し小さく、
淡い緑色をしています。  よく見ると匍匐茎も網目状によく目立ちます。

マメヅタをよく観察している人が見つけたら花がない時期でも、これはマメヅタとは違うな・・・・と
わかると思います。



少し先にも何かが着生している樹を見つけました。

 




  





マメヅタランとは感じが違いますね。
それほど高い位置ではないので、近寄って下から見上げてみます。
















バルブが見えますね、これはムギランです。
花は今年観察しましたが、目線の位置にないと花の観察は無理な小さな花を付けます。


・・・・・・・ん? ・・・・また・・すぐ近くの樹にも・・・・



これは、マメヅタランだ!

何だか、ドキドキして落ち着かない感じです・・・・
周辺の他の樹にもいっぱい着生しているような感じです。

ここは着生ランの森だ。




























先ほどの樹よりも低い場所に着生しています。
この位置なら、300mmの望遠を使って花風景を写すことができそうです。

今回はコンデジの望遠を使って撮影していますが、これでも良さそうですね。
三脚は使っていませんが、そばにある樹にカメラを押し付けてシャッターを切っていますので
そんなにブレていない感じです。


双眼鏡で枝先や下の方を見ていたら・・・・・下の方には、ムギランも一緒にいますね。



















葉の大きさや色が違いますので、よく見るとわかります。




周辺の目線の位置には、マメヅタが多いです。
このマメヅタは陽射しが当たる側の株の色が薄い緑で一見マメヅタランのようですが
胞子葉があり違いますね。











やっぱり目線の位置で見るのはマメヅタばかりかな・・・・と思って見ていたら・・・・その中に!










カシノキランがいた!

ほぼ目線の位置にいます。

今年、花も咲いたようですね。
















夢中になり撮影していたら陽射しが傾いて来ているので、ふと時計を見てみると・・・・

帰る時間を過ぎているではないか・・・ (-_-;)

時間が飛んでしまっていた。

カシノキランは、まだきっと隠れていると思いますが急いで戻らなければ・・・

・・・・この山でヘッデンを付けてというのはリスクがあります。

車までの距離は遠いです。
危ない所は慎重に、安全な所は小走りに・・・・日が落ちる前に何とか林道までは戻らなければ・・・
















日が沈む・・・・朝は曇っていましたが、すっかり冬晴れになりました。

切通しの中を歩くともう暗いです。

















宵やみ迫る中、冬なのに大汗かいて車まで戻ってきました。

今日は途中の沢から尾根に登ってみることに決めたのが幸運でした。
最近は毎週歩いていたので体力に少し余裕ができたおかげです。

時間が経つのを忘れて夢中になる森に出会える機会なんて滅多にないと思います。
けどいつかきっと、こんな森に出会えるのでは・・・・という期待はいつも持っていました。

今年は暖冬なので高い山へ行くのは、もう少し先になりそうです。
しばらくは房総の山を探索するのが楽しいかもしれません。
今日訪れた森は、何時かまた時間に余裕をもって行ってみようと思います。



12月15日






































コメント (4)
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房総  ~  紅葉と沢探索

2015-12-17 04:57:05 | 登山



12月も中旬ですが、テレビを見ていたら千葉の養老渓谷あたりではまだ紅葉が見られるようなので
植物探索を兼ねて、房総の沢や尾根を歩いてきました。

冬になったら行ってみたいと思っていた場所、その中でも今回は山深いロングコースを
選んでみました。  日が短いので太陽が昇る前の薄暗い中、歩きはじめます。

最初は林道を歩くのですが、もう少し奥まで車が入れそうな感じもしました。
しかし房総は狭く荒れた林道が多く、私のコンパクトな車でも侵入するのを躊躇してしまう
ような林道ばかりで、今まで何度も途中で進めなくなり、真冬なのに大汗かいてバックで
もどって来たことがあります。
ジムニーならともかく、普通車や四駆でも車幅があるような車なら無理せずに
手前の広い余地にでも止めて歩くことがベストです。

林道沿いは散り始めでしたが、紅葉が綺麗でした。
前夜に少し雨が降ったのでしょうか、シットリ濡れています。












林道から山道へ










濃い緑と鮮やかな赤や黄色、房総の紅葉風景です。 
リュウノウギクがまだ咲き残り、いろんな果実を見ながら
奥へと進んで行きます。  オモトも赤い実を付けています。










何度も沢に下りてみましたが、冬なのに雨が多かったからでしょうね、
水量が多かったり荒れていたりで沢沿いを歩くのは難しそうです。
途中から尾根に取り付くことも考えましたが、ようやく良い感じの沢に下りることができました。
房総らしいU字形の沢沿いです。  紅葉を見上げながら探索してみます。











濡れた足元に小さなシュスランがいました。











壁沿いにも着生していました。
どうも右側から落ちてきている枝沢が怪しいです。
かなり急な枝沢で荒れていますが、チェーンスパイクを付けて登ってみます。












少し登ると思ったとうり壁にはシュスランが点々としがみ付いています。
少し斑入りのアケボノシュスランもいました。























ここのシュスランは花が咲いた株も多く、良い環境のようです。
苔むした壁や、狭いスペースにしがみ付いて咲いている景色は見てみたいですね。

















この枝沢も途中から通行困難になり苦労して元の場所に戻ることに・・・・
少し上に登れば荒れていますが道があるので枝に摑まりながら何とか這い上がりました。

しばらく荒れた道をゆるゆると歩きます。






倒木、土砂で荒れた道ですが湿り気が適度にあるからでしょうか、
この時期の植物観察には丁度良さそうです。

暖かい日が続いたので、オニシバリの花でも咲いているかと思いましたが
さすがにまだ蕾ばかりでした。











ミヤマトベラかな・・・












これはコショウノキかと思いましたが少し感じが違いますね。
たぶんミヤマシキミです。













この黒っぽい果実を付けているのはタイミンタチバナだと思います。
・・・・最近調べてわかりました・・・











一番多く自生しているのは、やはりイズセンリョウです。
鹿が食べないからでしょうね、くすんだ白い果実が良く目立ちます。










左右、上下と目線を変えながら歩いていますが、うん、ちょっと・・・違うかなと思い
少し戻って確認してみると・・・・こんな所にもモロコシソウが。











一瞬、白い果実が茎から離れているのが見えたからわかりました。

少し上にも一株、こちらはまだ果実が青いですね。  





















周辺をよく探してみると小さな株らしき物が何株もあります。
案外今まで気が付かなかっただけで、モロコシソウを意識して歩いていれば
結構見つかるのかもしれませんね。
2週間前に見つけた時に忘れてしまった事・・・・香料にするらしいので葉を揉んでどんな
香りがするのか試してみました。
結果・・・・何のヘンテツもない葉っぱの香りだけでした。

ちなみに、モロコシソウは草本で、イズセンリョウは低木です。







         





適当な所から再び沢に下りてみます。



沢へ下りてみるとセンリョウが出迎えてくれました。

もう源流に近い雰囲気です。











ここでもアケボノシュスランが多くシュスランも点々と見かけますが、
花が咲いた形跡はみつかりませんでした。












2週間前、房総の沢でサツマイナモリの花が咲き始めていたので
今日はもしかしたら真っ白に一面咲いている風景が見られるのではと期待していましたが
今日の沢沿いには、サツマイナモリをまだ見ていません。
もう少し奥へと進んでみることにします。

両岸が狭まり、倒木が増えてきました。











天然のシイタケ、少しいただいてきます。










ようやく落ち着いた房総の沢風景になってきました。
ここで初めてサツマイナモリの群生に出会いました。

やはり奥深いに山の中に住んでいるようです。

















花は咲いていませんでした。

蕾が膨らんだ株もありましたが、一面の花風景は春まで待たなければだめでしょうか・・・・・











ここから先、どうしようかな・・・・。


帰るにはまだ早いので、このまま沢を詰て這い上がる・・・・×
・・・・かなり苦労しそう・・・・

荒れた沢を戻り、別の沢へと入る・・・・・×
・・・あまり期待できない、たぶん花もない・・・

登りやすい所から尾根に上がり、陽射し注ぐ稜線で着生ランでも探しながら
ゆっくり帰る・・・・・・〇


ということで、斜面にやたらと多いアリドオシのトゲに泣きながら、何とか尾根へと
向かうことにします。












・・・ 続く ・・・






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