蘇州人の唐寅は明代の著名な画家です。
唐寅が桃花塢に建てた邸宅が修復、復元されて2023年から公開されています。
また、唐寅故居の周辺は、蘇州桃花塢歴史文化片区唐寅故居文化区として再開発されました。
ネットで調べてみると、唐寅故居文化区には唐寅故居遺跡、唐寅祠、文昌閣、
文化産業総合街区、展示館、ホテルの6つの部分が含まれている。らしいです。
唐寅故居の敷地内には、評弾珈琲館という名のカフェと今流行の漢服の貸衣装屋さんがあります。
貸衣装屋さん営業中でしたが、カフェは早くも営業停止状態のようです。
コーヒーでも飲んでのんびりしようと思っていたのですが。。中国あるあるです。
唐寅は明代の1505年、ここに邸宅を建てました。
元々、宋代に章楶が建てた別荘があり、唐寅が桃花塢を散歩している時に偶然見つけたそうです。
別荘はすでに荒廃していましたが、築山や池はまだ残っている状態で、
この場所の環境が気に入り、購入して自身の邸宅を建てたのだそうです。
その後、時代の流れとともに持ち主は移り変わり、荒廃と再建、改築を繰り返します。
清代には、名医と呼ばれた沈明生の邸宅となり、
夢墨亭、六如亭、桃花庵、蓉鏡亭などの建物が造られ、唐家園と呼ばれました。
また、その後、清乾隆年間には、僧侶の道心が宝華庵に改築し、光緒年間には文昌閣に変わりました。
蘇州市園林和緑化管理局の2019年度の資料によると、その頃の庭園の面積は約8740平米、
築山、池と、閣、亭の建物がいくつか残っているものの、保存状態は非常に悪いと書かれています。
当時の写真を見ると酷い状態なのがよく分かります。
出展:蘇州市園林和緑化管理局HP
すでに、その頃から全体の修復が進められていたようです。
上記の写真に写っている亭はどれなのでしょう?これか、築山の上にある亭のどちらかと思うのですが。
唐寅はどんな人だったのかというと、
幼い頃から聡明で、29歳の時には南京で行われた郷試(科挙試験の第一段階)に首席で合格するほどでした。
しかし、次の試験でのカンニングに関わったとして投獄され、官僚への道は閉ざされてしまいます。
この件は同郷の受験者が、嫉妬による虚偽の密告を行ったためという説もあります。
その後は、自由気ままに絵画や詩を作って売るという生活を続けます。
字(あざな)は伯虎。号は六如居士、桃花庵主を名乗っていました。
絵画では、山水画や人物画が特に有名で、沈周、文徴明、仇英らとともに明代四大画家と呼ばれています。
詩人としても有名で、唐伯虎全集、六如居士全集という画詩文集を残しています。
現代では、数々の主にコメディ系の演劇やドラマ、映画に風流で自由奔放な役柄として登場しています。
唐寅は中国の人々に親しまれる人物のようです。
後に持ち主が移り変わった邸宅でも唐寅故居と呼ばれる所以なのでしょうね。
唐寅故居の北東(人民路に近い方)側には、朴園という園林があります。
確か2014年ごろ、朴園を探してこの辺りをウロウロしたこともありますが、
その頃は観光客が入って行くような感じの場所ではなかったです。(今でも?)
確か同じ2014年ごろに開館した蘇州名人館は、今では全く人影がありません。
唐寅故居文化区も同じような運命を辿ってしまうのでしょうか。
ちなみに、唐寅故居とすぐ近くにある唐寅祠は別物です。
唐寅故居は無料で開放されていますが、個人所有かと思われる唐寅祠は入館に68元必要です。
間違えて唐寅祠に行く人も多く、入館料を聞いて引き返す人を何人も見ています。(私もその一人です)