木涜古鎮には、清代に建てられた大金持ちの邸宅がいくつか残っています。
観光客で賑わう川沿いの山塘街にある古松園もそのひとつです。
古松園のある場所は、山塘街の東の端の方です。
地下鉄5号線の霊岩山駅から歩く場合は、厳家花園、虹飲山房、西施橋などを通り過ぎた先になります。
ちょうど山塘街が路地のように狭くなったあたりなので、
うっかりすると通り過ぎてしまいそうになります。
古松園は木涜の四大富豪のひとり、蔡少漁が建てた個人邸宅です。
そのため、蔡少漁旧居とも呼ばれています。
入り口に近い部分に住居などの建物が並んでおり、
間口は狭いように感じるのですが、奥には立派な庭園があります。
このような建物の配置は、前宅後園と呼ばれる典型的な清代の園林なのだそうです。
案内図を見ると、7の字のような敷地になっています。
邸宅内にある彫刻は太湖東山の彫花楼と同じ職人が手掛けたものです。
過去記事
名前の通り、庭園には大きな松の古木があります。
樹齢は500年を越えているらしいです。
松の木の周りには、1階にも2階にも回廊があります。
このような造りは、蘇州にある世界遺産の古典園林にはありません。
2階の長い回廊からは、庭園全体を見渡すこともできます。
池の向こうに見える大きな建物は、姚建萍刺繍芸術館。
姚建萍さんは、国家級非物質文化遺産伝承人の肩書を持つ著名な蘇州の刺繍芸術家です。
彼女の作品が数多く展示されています。
そのような関係があるからか、古松園の中には刺繍教室の建屋もありました。
数々の彫刻が施されている鳳凰楼は、王立鵬美術館になっています。
王立鵬さんは、黒竜江省出身の画家、書道家で、
木涜鎮政府の文化芸術顧問なのだそうです。
木涜の庭園はそんなに観光客で混雑することはありません。
なので立派な古松園でも、のんびり散策することができます。
世界遺産の古典園林や同じ清代の怡園とは違う雰囲気が楽しめて、
庭園や建物と彫刻以外に美術館も見学できる古松園。
決して大きな庭園ではありませんが、結構お勧めできる場所だと思います。