新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

死亡時画像診断のお金はどこから出すべき?

2009-04-01 23:38:06 | 医療

さて、続けます。

 

死亡時画像診断は病理医少ない日本にとって、解剖を補う良い手段です。実際友人も、死亡時画像診断を行って助かったと言っていました。

 

CBの記事です。

死亡時画像病理診断、費用に課題

4月1日22時32分配信 医療介護CBニュース

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090401-00000011-cbn-soci  

日本医師会は4月1日、一般のCTやMRIなどを利用した死亡時画像病理診断(Ai=Autopsy imaging)に関するアンケート調査の結果を公表した。それによると、Aiの実施経験のある施設で考えている適正金額と、実際の受領額との間に大きな開きが見られることが明らかになった。  

調査は、一般病床を持つ6150病院を対象に実施し、2450病院から回答を得た。  

それによると、「患者死亡時または死亡後、あるいは警察からの依頼で何らかの画像を撮影したことがあるか」との質問に、「ある」と答えた医療機関は35.8%だった。 都道府県別に見ると、実施率が最も高かったのは山梨の76.5%。以下は、長崎(72.7%)、静岡(64.5%)、福島(60.0%)と続いた。一方、最低は東京の11.9%。このほか、神奈川(15.1%)、和歌山(15.4%)、大阪(16.6%)も低かった。ただし、東京都特別区、横浜市、大阪市には監察医制度がある。  

 

費用について見ると、Aiの実施経験のある施設の52.0%が持ち出しで賄ったことがあり、このうち79.3%(Aiの実施経験のある施設の41.3%)が全額を賄っていた。 

平均受領額は、「1万1円以上2万円以下」が53.7%で最も多く、以下は「1万円以下」(29.3%)、「2万1円以上3万円以下」(13.3%)と続いている。 

一方、適正だと思う金額を聞いたところ、「2万1円以上3万円以下」が32.1%で最多。以下は、「1万1円以上2万円以下」(23.7%)、「5万1円以上」(17.4%)と続いており、実際の受領額との間に大きな開きが見られた。  

一般施設でのCTを利用したAiの問題点を聞いたところ、Aiの実施経験のある施設では「費用」が最も多く挙がり、以下は「一般機器の転用」、「倫理」と続いた。一方、Aiの実施経験のない施設でも「費用」が最多で、以下は「倫理」、「国民の同意」と続いている。

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死亡時の画像診断、確かに患者さんには直接有益にならないかもしれませんが、それ以後何かあったときに、多くの患者さんの利益になる可能性があると思います。

 

本当はこれに解剖も付け加えるべきでしょう。可能であれば採血とAiである程度の情報を集めて、剖検へと進む方が良いのではないかと思っています。

 

しかし、問題はお金です。

 

この検査で患者さんには有益なことがない以上は、患者さんからお金を取るわけにはいかないと思います。

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なかのひと 

しかし、これらによって死亡原因が不明であったのが判明したり、今後の患者さんに何らかの有益な情報が集まるかもしれません。

 

Aiで情報を集めて統計的に解析したら、たぶんこういった症状の人にこういった所見があれば「○○」である可能性が高い・・という話になっていくのではないでしょうか?

 

そうすると費用は「この国」の将来の有益な情報につながると思いますので「国」が負担してもよいと思います。

 

それこそ、高速道路は全員が使わないかもしれませんが、人は必ず死にますからその時に必ず有益な情報として還元されると思います。

 

医者にとっても患者さんにとっても有益な情報があつまり、それらは最終的には国に還元されていくと僕は思っています

 

では、次の記事に行きます

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今日の出来事・・・

2009-04-01 23:20:19 | 医療

こんばんは

 

何故か最近、大荒れの毎日です。

 

僕にとっても研修医にとっても体がいくつあっても足りない…というのが本当のところです。

 

今日は午前中は病棟内で様々な仕事をしておりました。どちらかというと落ち着いていました。

 

波が来たのは午後からです。

 

昨夜、急変した患者さんの血液培養からグラム陰性桿菌が検出されたので、PMXを回して救命しよう…という話となり、僕が各分野の調整にあたりました

 

血液浄化部→MEさん→ICU→病棟

 

末梢がないからUKカテーテル(太い透析用カテーテル)を30分以内に挿入しなくては次に続かないという状況下で、バタバタと入れました。

 

このときちょっとドキドキしたのは・・・朝、血小板1万(ちなみに昨日の夜はかったのも1万で血小板10単位輸血済み)。輸血はまだ入らず。

しかし、血圧は上が70~50、無尿の状態。救命にはPMXを回すことのみがTryできる唯一の可能性。しかし、血小板輸血がないと不安。

PMXを回すこともあり本日合計20単位はいるようにしていたのだが・・・

やるしかないか・・・・・

安全第一なら血小板輸血を待つのでしょうけど、救命第一ならやるしかない。

あの太いダイレーター差し込んだら、血がドバドバ出てきておさえても血がなかなか止まらず。まぁ、これはよくある光景・・・・。

 

さっさとカテーテルを入れようとしたら、シースの途中でガイドワイヤーが引っ掛かって通過しない・・・。

 

血が止まらないのに、この不良品が・・・と思いながらシースごとガイドワイヤーを引き抜きました。

 

それで無事挿入終了。

 

それと並列作業で、サテライト(血液病棟は満床のため、カリニ肺炎の患者とか、悪性リンパ腫の再発患者とか急性骨髄性白血病の患者さんとか・・他数名が他病棟に入院中)から挿管した患者さんをおろしてきて、その上で抜管。

 

PMXを回すことを含めてUKカテーテルを入れた患者さんは挿管したままICUへ移動。PMX効きますね。DOA(本当はノルアドレナリンの方がいいのでしょうけど)を15γ行っていても血圧が70くらいしかなかったのに、PMXまわし始めたら2時間で120まで上がりました

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エンドトキシンの作用の強さとPMXの効果を実感しました。

 

その他緊入が1名と、最終的に緩和ケアに行くしかない人のムンテラを家族にしたりして・・気がついたら22時すぎていました。

 

本当にドタバタといつも忙しいですけど、研修医たちはとても動きが良くなっています。

 

まぁ、内科の重症患者の管理をしながら、急変対処もともにやっている状況ですし、力がつかないわけはないのですけど。。。

 

それでは、今日の記事に行きます。さすがに今日は呼ばれないだろう・・・。

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医師不足の影響は?

2009-04-01 00:58:02 | 医療

こんばんは

 

いきなり呼び出されて、今帰ってきました。

 

明日以降のこともあるので、今日は主治医の先生が来たので撤退しました。

 

さて、今日はとりあえずこの記事を紹介します

 

医療クライシス:コストカットの現場で/1 総務省「3年で経営改革」要求  

http://mainichi.jp/select/science/news/20090331ddm002040058000c.html?inb=yt

◇「黒字化」苦しむ公立病院 

「予算計上を認めていただきたい」。今月6日の岩手県議会。達増(たっそ)拓也知事が議員に向かい、じゅうたんに額をこすりつけるように土下座した。  

県立の1病院と5診療所の入院用ベッドを休止(無床化)するなどとした、県立病院・診療所計27施設の経営改革計画。反発した議会は、関連予算を認めなかった。無床化した診療所から、入院の必要な患者を病院へ送るマイクロバスの購入予算だった。  

 

県の狙いは27施設の黒字化だ。経営に年141億円を出しているが、合計収支は年10億円余りの赤字。県の試算では、6施設の無床化で年約12億円の節減になる。他の策も合わせ13年度には県の支出を123億円に減らし、10億円の黒字にするという。議会は土下座後もバスの予算を認めなかったが、結局は無床化を容認した。  

北海道に次ぐ広さで過疎地も多い岩手県。診療所周辺の住民は「開業医もなく、夜間・休日は無医村になる」と反発した。4万2653人の反対署名を知事に出したが、県は「医師不足が危機的で医師負担軽減も必要だ」と強調し、バスの代わりにタクシーを借りて計画を進めるという。    

■   ■  

総務省は07年12月に出した「公立病院改革ガイドライン」で自治体に対し、病院経営を3年程度で黒字化する案を08年度中に作るよう求めた。小泉内閣から続いた構造改革路線の一環だ。  

総務省によると、07年度は全国957の公立病院に自治体から計約7000億円が支出された。それでも計約2000億円の赤字。公立病院はコスト意識の薄さを指摘され、効率化は欠かせない。だが、救急、へき地など不採算医療を担い、黒字化は簡単ではない。    

■   ■  

兵庫県北部の但馬地区。豊岡市と朝来(あさご)市で作る「公立豊岡病院組合」が5病院を経営し07年度は約19億円の赤字だった。3年での黒字化は無理とみて、17年度までの9年で黒字化する計画を立てた。

赤字の主因は医師不足という。組合の試算では、医師1人が年約8000万円稼ぐが、03年度に113人いた常勤医は07年度には102人に。医業収支(医療での収入と経費の差)の赤字は、03年度は約8000万円だったが、07年度には約17億円に拡大した。  計画によると、10年度から毎年、組合の奨学金を受けた医師が5病院に順次着任する。17年度に15人に達し、黒字化を見込む。  

だが、前途は険しい。手厚い看護体制にすると診療報酬が増えるため、08年度に看護師70人の確保を目指したが50人にとどまった。医師の突然の退職もある。昨秋、公立豊岡病院の麻酔科医5人のうち3人が辞めた。4月にやっと4人に戻る。  

同病院の竹内秀雄院長は「地方は不便で子供の教育にも困り、医師が定着しにくい。経営は大事だが、(総務省には)医療の質という視点がない。小児科など不採算な科も縮小はできない」と訴える。    

×   ×  

先進国で最も厳しいコストカットにさらされてきた日本の医療現場。相次ぐ公立病院の閉鎖や、産科・救急を巡る問題の続発に象徴されるように、厳しい状況は一向に改善に向かわない。現状と改善策を追う。=つづく

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医療現場における医師不足は医業収益にも大きく影響します。結局、行政の失政を現場の病院と国民が受けているわけですが・・・・

 

京都市の医療法人に保全命令―医師不足などで収益悪化

3月31日20時40分配信 医療介護CBニュース  

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090331-00000006-cbn-soci

京都市内で病院を経営していた医療法人竜王会(京都市山科区、小澤利夫理事長)は3月27日に京都地裁へ民事再生法の適用を申請、同日保全命令を受けた。帝国データなどによると、負債総額は約16億円。竜王会は弁護士を通じて、資金繰りに行き詰まった理由について、▽医師と看護師不足▽医療行政の中小病院に対する締め付け▽諸費用の高騰化―などと説明。その上で、「民事再生手続きにより、病院再建を目指すことが最善の策と判断した。医療活動を継続するために、引き受け先、支援先を見つけて、病院の再生を目指す」とコメントしている。  

 

帝国データなどによると、竜王会は1964年4月に「小沢医院」として個人創業。70年4月に法人設立し、「小澤病院」(一般100床、療養49床)を経営していた。内科、循環器科、消化器科、放射線科をはじめ計13科目を手掛け、89年には10億円の資金を投入して新館を開設するなど積極的な設備投資を行っていた。特に、人工透析センターは97年に増床し、透析ベッド26床を運用していた。2003年3月期は年収入高約16億5900万円を計上していた。  

 

しかし、06年以降は外来、入院患者数が減少傾向にあり、08年3月期は訪問介護、在宅介護支援センターの廃止による来院者数の減少などで、年収入高約14億9600万円にとどまった。医療材料や消耗品などの仕入れ価格の上昇、介護人員の増加による経費の増加に加え、過年度損益修正額の計上で当期損益は約2億1300万円の赤字となり、債務超過に陥っていた。 

06年2月には社有不動産を売却するなどして、債務の弁済を進めてきたものの、過大な金融債務を抱え、多忙な資金繰りを余儀なくされる中、その後も減益が続き、自主再建を断念したという。  

関係者によると、「病院の運営は同じ状態で続けるので、93人の入院患者、透析に通う通院患者や病院で働く180人の職員などに影響が出ることはない」という。  

 

竜王会は弁護士を通じて、「裁判所に選任された監視委員の指導・監督の下、再建に全力を尽くす」とコメントしている。

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現場で医師が足りていると感じることは僕は全くないのですけど、国民の多くはそうは思っていないのです

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

例えば今日僕がこの患者さんを助けるには骨髄移植をするしかないな~と思って、ドタバタと移植の調整をしている患者さんがいるのですが(MDS IPSS High)、この患者さんは本日電話をかけていらっしゃって

 

「え~と、知り合いに○○病院に有名な先生がいるからそっちの方がいいよっていわれました。紹介状を書いてください

と言われました。

 

僕はそう言われたので、

「じゃぁ、明日お渡ししますので・・・」

と言いましたが、どこの施設にそんな余裕があるのかは知らない

 

この病院も初発の白血病などは僕が探した日と同じ日に、同じ病院に声をかけていたりして・・・血液内科はどこも満床(に近い)なのです

 

にもかかわらず・・・まだ、

自分の行きたいところに通える

という夢を見ているのではないかと思います。

 

もはやそういう状況ではなくなっていますし、入院して改めて移植をするのは厳しいのですけどね。

 

どうするのかな~。平均余命は半年以下なんですけど・・・。しかも、M6になりかかっているようなMDSです・・・。

 

僕は最大限早くコーディネートして…と思っていたのですが、まぁ仕方がありませんね。

 

 

医師不足が国民の生活に大きく影響する日が近々来るのではないかという気がします

さて、明日…というか今日ですがもいろいろイベントが目白押しなので、このあたりで失礼します

コメント (2)
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