さて、ちょっと救急関係で一件だけ追加記事書きます。
先程、救急隊が必ず搬送先を探さなくてはならないという風に書きましたが、もしかするとこういうのも問題になっているのかもしれませんね。
確かに患者の状態を適切に判断することは重要なことです。ただ、救急隊員も人ですからわからないこともあります。また、全例を救急搬送することで病院の疲弊につながります。
それに先日のSM○Pの方やうちの病院の前で倒れていた医師ではありませんが「急性アルコール中毒」のような状態だと患者の意識レベルの確認がやりにくいので、「頭を打っただけ」で血圧や脈拍などが変わらないような状態だったら・・・僕もわからないような気がします
泥酔している人と脳挫傷の患者さんの見分けはなかなか難しいですよ。泥酔して頭を打ったのかもしれませんが・・・・。
救急搬送拒否で重篤、消防組合に1億4千万円支払い命令
4月27日16時26分配信 読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090427-00000779-yom-soci
脳挫傷などが疑われる状態だったにもかかわらず、救急搬送されずに治療が遅れて意識不明に陥ったなどとして、奈良県大淀町の男性(44)とその両親が、中和広域消防組合(奈良県橿原市)を相手取り、治療費や慰謝料など計約2億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、奈良地裁であった。 坂倉充信裁判長(一谷好文裁判長代読)は「救急隊員が判断を誤った。すぐに搬送していれば重篤化しなかった可能性が高い」として、救急隊員の判断の誤りと搬送の義務違反を認め、同組合に計約1億4000万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は2006年11月15日未明、橿原署駐車場で、顔から血を流し、酔った状態でいるところを保護され、同署員が同組合に通報。駆けつけた両親らは救急搬送を求めたが、救急隊員3人は「軽症」と説明し、搬送先を探していないのに「受け入れ先もない」として断った。帰宅した男性は、朝になっても意識が戻らず、病院に運ばれ脳挫傷や急性硬膜下血腫などと診断。現在も昏睡(こんすい)状態が続いている。
判決で、坂倉裁判長は男性の様子について「目の周りに打撲の傷があり、意識障害や嘔吐(おうと)もあった。頭部を打ったことは容易に予想できた」と指摘。そのうえで、坂倉裁判長は「隊員が観察した時点で搬送し、医師の処置を受けられていれば今回の結果を避けられた」と判断。同組合側の「症状から脳挫傷などの兆候はみられなかった」とする主張を退けた。
同組合の橋本雅勇消防長は「主張が認められず遺憾。判決を踏まえ、対応を検討する」とコメントした。
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患者さんの意識が戻らなかったのは悲しい事実だと思います。
しかし、泥酔状態での「意識レベル」の判断は難しいです。それに普通なら救急隊が「受け入れ先がない」と探さずに言うことはないと思います。
大学病院に…思わず
「アホかこの救急隊は!」
と思うような患者さんのことで電話をかけてくることがあります。
その時も
「わかっています。ただ、もう電話をかける病院が○○大と○○医療センターしか残っていないんです」
と言われて、思わず受けてしまったということがあります。
本当に救急隊が患者さんを見に行っても断れる・・・すなわちそこでTriageできるような状態になれば少しは病院も状況が改善すると思います。
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しかし、その分救急隊にはより責任と技能が要求されることになります。
このTriageすることに関して「責任」をどこまで追及するのか。その訴追が激しかったら「Traige」は適当になされて、ともかく患者をどこかの病院に運ぶ。もしくは大学病院や地域の基幹病院クラスに運んで、確実に患者さんの処置をしてもらう・・・・というような話になるかもしれません
まぁ、これ(今回の話)も結果論に基づいた話のようにも見えますし・・・患者さん側から見れば「過失」としか言いようがないと思われるのでしょう。
お互いがいがみ合っているばかりでは進展はないのでしょうけど、難しい話ですね。
ここから日本の医療がもう少し発展する第3案が出現することを祈っています。
それでは、二日分寝ますw
眠らない医者のくせに…と言わないでください。僕も睡眠時間3時間くらいは連続でほしいのですw
では、また。