AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

腎尿路・生殖器臓器の自律神経支配

2006-06-12 | 泌尿・生殖器症状

1.腎尿路・生殖器臓器の自律神経支配
 内臓は交感神経と副交感神経の二重支配を受けているが、臓器により優位性の比率は異なっている。骨盤臓器の場合、おおざっぱにいえば、骨盤上位にあるものは交感神経優位で、骨盤下位にあるものは副交感神経優位である。

 骨盤内臓の交感神経優位の臓器は、その内臓-体壁神経反射は、Th11~L2
交感神経性デルマトーム領域に出現し。皮膚のざらつきや立毛、発汗などの反応をもたらし、その興奮が一定以上に強い者ならば体性神経デルマトームにも出現して圧痛硬結反応を呈する。
 ただし体幹部において、両者のデルマトームはほぼ同じなので臨床上は同一に扱ってかまわない。

 副交感神経優位の臓器では、具体的には骨盤神経がその興奮を伝達している。骨盤神経はS2~S4からなるが、それ自体は内臓-体壁反射を起こさない。しかし一定以上の興奮はS2~S4体性神経デルマトームに反映される。

 ただ骨盤臓器はどちらかの自律神経成分が優位だとしても、それは相対的な問題であってTh11~L2交感神経とS2~S4副交感神経の両方の反応が出現している。なおそこ間にあるL3~S1の脊髄神経は専ら、腰下肢という広範囲な知覚と運動を担当しているので、内臓支配まで手が回らないのである。




 

上記で、とくに踵部と泌尿器の関係が興味深い。このことはフェリックスマン著「鍼の科学」にも記載があって「尿道と足とは、おそらく同一または隣接したデルマトームに属しているのだろう。多発性硬化症患者の踵を鍼で刺すと、排尿が起こることを観察している」とある。

踵中央にある失眠穴に灸刺激すると尿量が増えることが深谷伊三郎によって報告されている。足ツボ療法では足のむくみがとれるともいわれているが、これも利尿作用と関係しているのだろう。