AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

排尿後のちょい漏れに会陰部の押圧

2024-12-28 | 泌尿・生殖器症状

残念なことに、私は十年ほど前から、排尿後に尿のちょい漏れが生ずるようになり、パンツを濡らすことが多くなった。程度的に深刻なものではないが、気にはしていた。排尿して、トイレから出た後、5~10秒してから尿が漏れる。

そのような折、ABCテレビ令和6年12月20日放送、「TV番組ナイトインナイト(旧称ナイトスクープ)」で、私と同じ症状をもった56歳男性が登場、自分は残尿の効くツボを見つけたとのことで、その方法を実演してみせた。ぬいぐるみのゾウを使い、その鼻の根もとの下部分をやさしくこすりつけるように押圧するとのことだったが、今ひとつ正確な部位が不明で、また押圧の手技については説明不足だった。
ともかく番組では尿漏れのある中高年男性10人中6名に有効であり、私自身も有効だったことから、押圧部位と押圧要領、および効果のあった理由を調べてみることにした。


1.排尿後尿滴下の原因

こうしたケースの尿漏れは、膀胱機能は正常であることから尿漏れに該当せず、正確には「排尿後尿滴下」とよぶ。

男性の尿道は20cmの長さがあり、膀胱内にある尿を出し切ったとしても、尿道内には尿が溜まっている。若い頃は小便終了時、尿道の元の部分にある球海綿体筋を収縮させ尿道に残った尿を出し切ることができるが、50歳を過ぎた頃から、球海綿体筋収縮力は低下するので、尿道内に尿が残存するようになる。 その結果、トイレを終えた後しばらくしてから、尿道に残っていた尿がモレ出てしまう。一方、女性の尿道は4cmと短いので排尿後尿滴下は起こらないが、中年以降で重いものを持ち上げたり、笑ったりなど腹に力を入れた瞬間、腹圧性尿失禁を起こすことが多い。


 




ペニスが外に出ているのは全体の 3/4で、根元1/4は骨盤底筋群の隙間に埋まっている。この根元にあるのが球海綿体筋(BC筋 Bulbocavernosus Muscle)で、小便を押し出して切り、精液を押しだす役割もある。球海綿体筋が鍛えられることで射精の勢いが強まり、射精時の快感が増すとされる。ちなみにPC筋(恥骨尾骨筋)は肛門を絞める役割で、BC筋とともにEDで鍛えるべき筋として知られている。

ペニス全体を下支えしている。球海綿体筋はペニスが勃起するときに海綿体に血液を送るポンプの役割もあり、精液を出す時には律動的に動くので、EDの際の筋訓練対象にもなっている。球海綿体筋が強いとペニスの根元もしっかりして上向きのペニスとなり簡単には「中折れ」 を起こさない。


2.球海綿体筋の押圧

球海綿体筋は、会陰穴あたりに存在する。ここを指頭で押圧しつつ、ペニス前方へこすり上げるようにする。この絞る動作をミルキング milking とよぶ、。 普通milkは名詞で牛乳という意味。動詞では乳を絞り出すという意味になる。ミルキングとは、「絞り出すこと」こと。
    
排尿直後、小便が出なくなった後、この会陰部から前方にミルキングすると、尿道中の小便が押し出され、尿道口から残尿が出てくれば有効である。