ヘーゲル『哲学入門』第二章 義務と道徳 第六十六節[他者への奉仕]
§66
Welche Dienste wir andern Menschen zu erweisen haben oder erweisen können, hängt von zufälligen Verhältnissen ab, in denen wir mit ihnen stehen, und von den besonderen Umständen, in denen wir uns selbst befinden. Sind wir im Stande, einem Andern einen Dienst zu tun, so haben wir nur dies, dass er ein Mensch ist, und seine Not zu betrachten.
第六十六節[他者への奉仕]
我々が他者にどのような 奉仕 をなさなければならないか、あるいは奉仕することができるかは、その人たちとどのような関係にあるのか、その偶然の関係と、我々自身の置かれているさまざまな状況次第である。我々が他者に奉仕する立場 にあるということは、その他者が人間 であること、そうして、他者にその 必要性 が認められるということ、ただその場合にのみである。
Erläuterung,
説明、
Die erste Bedingung, Andern Hülfe zu leisten, besteht darin, dass wir ein Recht dazu haben, nämlich sie als Notleidende zu betrachten und gegen sie als solche zu handeln. Es muss also die Hülfe mit ihrem Willen geschehen. Dies setzt eine gewisse Bekanntschaft oder Vertraulichkeit voraus.
他者を助けるための第一の条件は、我々にそうする権利が、すなわち、彼らを困窮する人々と認め、かつ、彼らに対してそのように行動する権利があるということである。だから、援助は 彼ら他者の意志に もとづいて行われなければならない。このことは、彼らと特別な関係にあること、あるいは信頼関係にあることが前提となる。
Der Bedürftige ist als solcher dem Unbedürftigen ungleich. Es hängt also von seinem Willen ab, ob er als Bedürftiger erscheinen will. Er wird dies wollen, wenn er überzeugt ist, dass ich ihn, dieser Ungleichheit ungeachtet, als einen mir Gleichen behandle und betrachte. — Zweitens muss ich die Mittel in Händen haben, ihm zu helfen. — Endlich kann es auch Fälle geben, wo seine Not offenbar ist und darin gleichsam die Erklärung seines Willens liegt, dass ihm geholfen werde. (※1)
困窮する者は、言うまでもなく困窮しない者とは同じではない。だから、彼が 困窮する者として 認められたいかどうかは、彼自身の意志次第である。この違いに関係なく、もし私が彼を同等な者として扱いまた認めていることを彼が確信しているなら、彼は自分が困窮者として認められることを望むだろう。── 第二に、私は彼を助けるための手段を手に入れなければならない。── 最後に、彼の欠乏が明白であり、かつ、そこで直ちに彼が援助を求める意志を明らかにする場合もありうる。
※1
この現在の第六十六節の文脈は、第一教程の第二章にあって「義務または道徳」について論じられている。その内、第五十九節から第七十節までは「Ⅳ 他人に対する義務」についての考察である。
第六十六節の主題は、私たちが困窮する他者に対して、奉仕し援助を差し向けるに際して必要な条件とは何かである。私たちがその他者とどのような関係にあるのか、その他者が、奉仕なり援助なりを求める意志があるのかどうかが条件となる。
また、彼らに奉仕し援助する手段が私たちになければならない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます