玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

ソ連邦解体直前の旅①

2005年10月14日 | ソビエト旅行

  《 00年の夏3週間ゴルバチョフ率いるソ連邦を旅行した。そのときの駄文を職場の広報紙が掲載してくれた。よほど紙面作りに困ったらしい。チェルノブイリ原子力発電所事故のあと、ソ連邦解体の前年である。日本では人気のゴルバチョフがソ連邦では全く支持されていなかった。いまでも不思議である。その後は酔っ払いのエリツェンだけになおさらだ。焼き直しもので恐縮です。タイトルは「レニングラードにて」 》


 しばらくまえにテレビで二年間ほど中国語講座をきいたことがあった。中国語の美しい声調にひかれた。その直前の番組はロシア語講座であった。その番組に登場しているロシア人の言動がとても華やいで見えた。中国語番組のきまじめで抑制のきいた話ぶりとちがい、ロシア語番組はどことなく開放的な雰囲気である。旅行まえにいつもは身につけないジーパンを買ってしまったのもその印象が後押ししたのだろう。

 旅の五日目私たちはキエフからレニングラードに向かっていた。まる一日の汽車の旅である。軍用列車さながらに高々とがっしりした車体を連ねた急行寝台である。駅にとまると客は低いプラットホームに降りたち、風景をたのしんだり、たばこをすったり、りんごや洋なしやすももなどの買い物をした。くだものを売り歩いているのは近くの農家のバブーシカ(おばあさん)である。かわの白いりんごはとても小さく、赤ん坊のにぎりこぶしくらいだ。日本のりんごとはくらぶべきもない。それにきずものが多いが、ここではそんなことを気に病んではいけない。

 地球の陸地の六分の一を占める広大な国と小さなりんごのとりあわせをどことなくほほえましい。果物といえばそのほかにすいか、桃、うり、ぶどうなどを食べた。どれも充分な甘みがある。旅行中は野菜不足になりがちだから安く手に入る果物は貴重であった。

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