ダナンの若者と自転車やバイクにまたがって、街を気ままに散策する予定でした。しかしながら台風14号直前の出航のため台風にツッコム形になりモロに台風の影響を受けてしまったのです。1泊予定のところ,船舶の最高責任者である船長が「全員集合」をかけ、「乗客の安全を最優先するため日帰りにせざるをえない」と発言。その決断に沿わざるを得ませんでした。そして翌日、なおも風はつよく揺れも最高潮。船酔い続出のみでなく、再度の召集で更に船は迂回して結局ベトナム寄港はボツとなってしまいました。
ベトナム上陸に向けてベトナム籍を持つ2人の講師よりいくつかのレクチャーも受け、しかも最初の寄港地であっただけに皆の落胆は大きいものでした。しかし誰よりも一番落胆したのは自分の国を見ては欲しかった講師だったことでしょう。しかもつぎの寄港地であるシンガポールまで下船出来なくて。
一人はミードアン・タカサキさん。明治学院大学の国際平和研究員として活躍中のふわりとした女性でした。ベトナム戦争から30年経った今も、枯葉剤の被害に苦しんでいる人たちがたくさんいることを映画を通して報告し、この問題にたずさわるようになったキッカケやベトナムの文化、風習、言葉、54種類にも及ぶ少数民族の紹介などでした。
もう一人はカルメリータ・ヌキさん。お父さんに逢いたがっている日比混血児にミュージカルを教えて来日させ、公演をしながら父親探しの旅ををするドキュメンタリーが上映されました。勿論それ以前に父親の消息を調べ、父親にその子の出演とせめて見に来て欲しい旨を伝え、来る来ないは父親にまかせられていました。舞台の袖でコッソリ見つつ名乗り出せないまま別れ、いよいよ帰国の日空港に駆けつけてわが子を抱きしめる親子をみるにつけ、こんな悲劇が少なくない事も知らされました。双方にとってこの上ない不幸なことですよネ。
彼女らは見るからにソフトでいながら、思考・行動ともにタフで女性特有の持続するエネルギーのようなものを感じさせられました。船内での自主企画も色々あったのですが、いずれも男性は消極的で女性が元気。男性のセカンドライフ組はお疲れなのでしょうか?女性のセカンドライフ組にはあんまり疲れは見えないというかヨリ元気?でしたけれど。