何かと用事が立て込んでタイトな日々を過ごしていた折りポッカリと丸一日空いた。自転車で走っても寒くなく、花粉飛散も未だ少ない。寒かったせいでしばし映画も遠のいていた。午前中に出かければ映画のハシゴも出来る。PCを繰り時間調整に好都合で、私も愛読している新聞連載の「毎日かあさん」と「太平洋の奇跡」に決めた。
10階近くあるシネマ館に入る時はいつもそうだが、今回は特にNZ地震の後だけに、例え最新の耐震構造体であるとしても、振動の中で果して耐えられるかと不安もよぎった。1本目は「毎日かあさん」で、小泉今日子がバイタリティに溢れ、本当に夫であった元夫と夫婦役でアルコール依存症の夫(戦場カメラマン)とバトルしつつ、別れきれない女房役を演じていた。2本目は米国人が実話に基いて書き上げた作品を日米合作で映画化したもの。サイパン島で生き残りの兵を率いて米軍を翻弄し、民間人も守りつつ投降した大場栄大尉を竹野内豊が好演し、高潔で見事な立ち居振る舞いを見せていた。
小野田寛郎さん救出時見たように、上官の命令に従い遂に47名の残兵が2列の隊列組んで頭を上げ行進して来た。隊長は帯刀していた日本刀を抜き、儀式様の所作をした後敵隊長に差出し降伏した。その時私の席に振動が伝わってきた。隣席の2つ目にかなり高齢の老紳士がいらしたのだが、彼がこらえ切れず嗚咽をもらし私の椅子に伝わって来たのだ。5~6年前私は世界一周の途上ラバウルに立ち寄り、密林の中に放置された戦闘機の残骸と、深い防空壕に設けられた作戦室を見たが、老紳士はかつての戦時関係者だったのかもしれない。今朝の書評欄の片隅にーサイパン島の戦い「大場栄大尉」を読み解くーが目に止まった。(下線は関連記事に飛ぶ)