畑の春菊と小松菜は朝霜に身構えて、陽射しが出ると伸びやかになる。ネリネのピンクの花は年を越していまだに寒風の中で咲き続けている。この暮にはいただきものの柚子胡椒が食卓に登場して、これが鍋や焼き魚によく合うことを知った。また本を買わないと宣言していたひとが「日本の七十二候を楽しむ」という、絵がふんだんに入っている本を買ってきた。その帯に「日本には二十四の節気と七十二もの季節があることを知っていますか?」とある。節気を初侯、次候、末候に分ける。たとえば小寒の初侯は「芹乃栄う(せりさかう)」と季節それぞれのできごとを、そのまま名前にしているのが七十二候だと知った。
年の最後の節気は冬至(12/21~1/4)である。オープンギャラリー最後の観察会のあとに、私は会の常連であるFさんご夫妻とともに鈴木さん宅にお招きを受けた。私にとっては2度目であるが今回も突然いわれてお邪魔することになった。鈴木さんの奥さんの煮込んだ「おでん」に熱燗の地酒をいただく。やや遅れて参加したFさんご夫妻は出来たての「れんこんのえびはさみ揚げ」とそのほかに一品持参した。鈴木さんが昨夜から用意したのは北海道産の粉で作った「うどん」だ。昼間の宴の仕上げは、いつもとは違う食べ方をしようと鈴木さんが湯がいたうどんに長ネギと鰹節をまぶして醤油をたらしていただいた。
年の最初の節気は小寒(1/5~19)である。昨年から年の最初の観察会は小金井公園の木製のテーブルで手料理を囲んで屋外で新年会を開くようになった。女性スタッフのお一人が燗をしたお酒が一升入ったポットなどを用意して先回りして待っていてくれるのである。理由を思い出せないが、私は一年前の初回は不参加だった。昨年は公園のロウバイがちょうど見頃だったという。今年はそのロウバイも一輪だけでほとんど開花していなかった。風もないせいか昨年より暖かいという。この日の参加者は十数名でいつものことだが女性が多い。鈴木さんをふくめた男四人は紙コップのお酒を快調に消化した。
今回の冬の青春18きっぷの旅は25日に大阪泊、26日は福知山線の重大な事故現場を通って途中下車の城崎温泉であわただしく湯に入り松江泊、27日は西小倉駅で途中下車して松本清張記念館を見学して博多泊、28日に肥薩線の吉松駅前の温泉に入り鹿児島駅で降りて市役所近くの名山掘りにある最近馴染みになった居酒屋へ直行した。年が明けて残った青春18きっぷ1回分をどうするかを考えた。昨年も同じように1回分を残す状況となっていてその時は横須賀から三崎魚港を回っている。今年は九十九里浜を訪ねることにした。行きは総武線各駅停車で帰りは京葉線快速になった。市川には妹が住む。車窓から見る蘇我駅周辺の活況は印象的。外房線の誉田(ほんだ)駅は2人の知人の最寄り駅だ。東金駅からバスで片貝海岸に出る。1月9日の海で2人がサーフィンに興じていた。(写真は小金井公園、片貝海岸)