玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*集会に参加して

2013年02月26日 | 捨て猫の独り言

 外に出ると氷で頬をなでられるような風が吹いている。二十四節気の「雨水」を迎えたのに今年は梅の開花が遅れている。それでもたとえば低木のマユミをひき寄せて枝先をよく見ると芽吹きの準備をしているのがよく分かる。クヌギ、コナラ、ミズキなどの高木も芽吹きが近づき、枝先や冬芽が赤みを帯びてきて遠くから眺めるとそびえる木立はほんのりと紫の景観となってきている。オープンギャラリーの「雨水」の観察会では落ち葉に埋もれているカンスゲの花穂、ギシギシを食餌として幼虫越冬するベニシジミの幼虫のことなどを教わる。参加者たちは陽光の中を二羽のコゲラがサンシュユの枝をしきりにつついているのを立ち止まって眺めた。

 これで2回目という2月22日の「小平で住民投票!」の集まりに私は初めて出席した。午後6時半に始まるということで途中にある回転ずし店で腹ごしらえをした。会場の小平市福祉会館の5階のホールに前回より多い200人ほどが参加したという。主催は「住民の意志を反映させる会」と「どんぐりの会」である。「NPOどんぐりの会」は、空気と水をきれいにする森がないと人間は生きていけませんと1981年にスタートしている。共催の「グリーンアクティブ」についてはこの日の集会参加を契機にして知るようになった。「チベットのモーツァルト」の著作で知られる人類学者の中沢新一が代表となり緑の党のようなものとして構想し、昨年の2月に発足させたばかりの緩やかなネットワークのことだ。

 発起人は「中沢新一」「いとうせいこう」「宮台真司」「マエキタミヤコ」で、賛同人に歌手の「加藤登紀子」などがいる。集会では隣りの小金井市で09年に成立をみた「常設型住民投票条例」についてその過程と内容の報告があり注目を集めた。現在「拘束型の住民投票」は首長解職と議会解散に限られている。小金井市の「常設型」はなんら拘束力もない市民の発議権を保障するだけのものではあるが、これで一定の署名を集めれば、議会で否決されて住民投票が門前払いになることはなくなった。全国で「常設型」が制定されているのは7市と2村だけでそれほど多くはない。現在の小平市の場合は住民投票が議会で否決される可能性があるのだ。

 哲学の国分功一郎(39歳)社会学の宮台真司(54歳)文化人類学の中沢新一(63歳)の鼎段が行われた。哲学の主張は「議会制」民主主義では、民衆は選挙を通じて立法権にごくたまに部分的にかかわることができるだけで、行政権に関ることができない。民衆の行政権へのアクセスをオフィシャルに確保する制度が確保されねばならない。社会学の主張は<任せて文句たれる社会>から<引き受けて考える社会>への変革が必要であり、問題解決には合理性に基づく包容の(敵を作らない)調整力が必要。文化人類学の主張は玉川上水の緑道に秘められた価値をもっと認識すべきだろう。ギリシャでは奴隷も女性も民主主義から排除されていた。これはいまの民主主義でも同じだ、なにせ民衆と動植物がはいっていない。

コメント
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