畑のシュンギクの横にキャベツとブロッコリーの苗をそれぞれ2株ずつ植えた。去年の暮のほんの気まぐれだった。キャベツについては葉を巻いていく様子を見たいという思いがあった。しかし現在は4株とも無残な姿をさらしている。ヒヨドリが来て葉をコツコツと食べるのである。まるで「うちわの骨」のような葉になっている。ヒヨドリが松の枝などで日向ぼっこをしていて、気が向いたら畑に下りてくるのを何度も目撃した。鳥も食事するわけだが、やはり鳥は木から木へ糸をひくように翔ぶ姿に魅せられる。
ある雑誌に、短歌界の重鎮四氏が選ぶ「近現代短歌ベスト100」という特集記事があった。四人で話し合いながら一人の歌人について一首を選んでいくわけである。塚本邦雄は「日本脱出 したし皇帝 ペンギンも 皇帝ペンギン 飼育係も」、寺山修司は「マッチ擦るつかのまの海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」、俵万智は「<寒いね>と話しかければ<寒いね>と答える人のいるあたたかさ」だった。俵万智は東日本大震災後に、仙台市から沖縄県石垣島に移り住んだ。そのときに「子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え」と詠んでいる。
日本には山があり川があり海があり四季がある。これほどの自然環境に恵まれた国が他にあるだろうか。歳を重ねるにつれ日本再発見の旅に出たいという願望は募るばかりだ。一方でこれまで数多くの自然災害に遭遇してきたのも事実だ。自然災害ならばある程度受け入れざるを得ないが、人為災害ならば回避する努力が必要である。福島原発4号機の原子炉建屋が再び大きな地震に襲われたら日本はもちろんアジアも致命的な打撃を受けるという状況がある。そうなれば日本再発見の旅どころではない。ましてやオリンピックでもない。
注目の名護市長選挙で新基地建設反対の68歳の稲嶺氏が再選された。私は住宅に囲まれた危険な普天間基地を撤去し、しかも新基地はつくらないという選択肢があり得ると考えている。駐留米軍の縮小である。稲嶺市長には沖縄のために身を捨てて働いてもらいたい。沖縄が自ら新基地の建設に着手することがないように祈りたい。市民の安寧な生活を守れない国家なんて逆立ちしている。私一人が行動しても何も変わらないとみんなが思っていることが、本当に世の中が変わらない原因だろう。現政権がこの問題で沖縄に犠牲を強いる事態になれば、私も西へ向って行動を起こすだろう。