昨日は映画「オール・イズ・ロスト」の前宣伝を新聞で読んで、久しぶりに出かける気になった。「大海で生きのびるための男の闘い。登場人物はただ一人。セリフはほとんどない。どんな男かの説明も一切ない」という文句に興味が湧いたのである。ところが近くの地域には上映館がない。それでもスギ花粉が非常に多く飛ぶという予報の中を出かけた。そして見た映画は「大統領の執事の涙」だった。二つの映画の評判はパソコンによると後者の方が上だった。自分で判断するために両方を見なければならないと考えている。
もう何年になるだろうか、居間の壁に鹿児島銀行の一枚カレンダーを貼ることが倣いとなった。そうすると一年を通して故郷の風景と共に過ごすことができる。しばらくは噴煙の上がる桜島を中心とした写真が多かった。最近では2012年は「世界自然遺産・屋久島・ウイルソン株内部から上空を見上げる」だった。13年は「南大隅町雄川の滝・生命を育む、清流」だった。落差46m、幅60mの滝で、柱状節理の岩肌から糸をひくように流れ出る無数の伏流水はみごとだ。そこは交通の不便な場所にあるが、いつの日か訪れたいと思う。
そして今年は「瀬戸内町の油井岳から大島海峡と加計呂麻島を望む・奄美の島々を世界自然遺産へ」だった。カレンダーの中央部には加計呂麻島がある。写真のその島は全体が亜熱帯の緑の森に覆われていて、海辺に白く細く続く道がわずかに見える。三年前に死去した私の父は加計呂麻島の対岸の瀬戸内町で育っている。私は戯れに、その写真の中にごく小さい父を甦らせて歩かせてみたりする。私はこれまでに一度だけ加計呂麻島を訪ねたことがある。調べてみるとその時からもう15年が経過している。奄美の島々ではいまでもゆったりとした島時間が流れていることだろう。
春分の日に選抜高校野球が始まる。この大会に奄美群島から初めて大島高校が甲子園に出る。21世紀枠で選ばれたのは都立小山台と和歌山県立海南と鹿児島県立大島の三校である。大島は練習試合の相手に恵まれない環境の中で、秋季県大会4強入りが評価された。毎日新聞は今日までに出場4校の特集記事を掲載した。宮城の東陵、都立小山台、徳島の池田、そして大島の4校である。大島の主将は「出場は夢にも思わなかった。甲子園で校歌を歌うことができればこんなにうれしいことはない」と語っている。初戦は5日目の第3試合で相手は38回出場の竜谷大平安だ。