二泊三日の山形旅行に出かけた。すべてあなた任せの贅沢な団体旅行だった。これまで山形に足を踏み入れたのは二度ある。いずれも青春18きっぷの旅で、羽越本線の鶴岡で一泊したこと、福島駅から米沢駅まで行き上杉神社をあわただしく見学して会津若松駅に引き返したことの二回である。山形の二か所の地点を訪れても、山形の全体像を体感することはなかったと言える。
今回の旅行によって山形の理解が深まった。バスの移動中にベテランのガイドさんの熱心な解説を聞いたのもその要因の一つだろう。自分なりに旅行前に下調べをしたのは芭蕉の奥の細道の行程だった。はたしてバスの中で奥の細道について詳しい説明がなされたが、その話を地理をふくめてほとんど理解できた。私たちの山形新幹線は、福島で芭蕉の旅路と別れて山形盆地へ向かった。
今回の見学場所は、上杉神社、高畠ワイナリー、国宝・羽黒山五重塔、酒田・山居倉庫群、さかた海鮮市場、鶴岡市立・加茂水族館、元祖天童観光果樹園である。いろいろなトリビアを仕入れた。山形県の地図をよく見ると、口を開いた男の横顔である。芭蕉は紅花の豪商・清風の世話で尾花沢に十日も長逗留している。尾花沢を去るにあたり、訪れる予定のなかった山寺(立石寺)で詠んだのが「閑さや岩にしみ入る蝉の声」である。
三日目は雨で最上川ライン下りが、鶴岡市立・加茂水族館見学に変更になった。クラゲに特化した水族館で、NHKドキュメンタリー・逆転人生で話題を集めた。その後は最上川沿いの国道47号線を新庄へ。行政区分では置賜(おきたま)、村上、最上、庄内であるがテレビの天気予報では米沢、山形、新庄、酒田である。出羽三山とは月山は過去、羽黒山は現在、湯殿山は未来を表す信仰の山である。難しい地名に上山、寒河江、余目、山刀伐峠などがあった。