家の近くの小平中央公園を中心に、武蔵美の野外彫刻展「小平アートサイト」が毎年開催される。今年のそれに気づいたときには最終日の26日が目の前に迫っていた。「武蔵美の学園祭」の方は今年も見逃してしまった。さて「日展」を調べると、これも最終が26日だ。あわてて終了前日の土曜午後に日展会場に駆け込んだ。
その前日にYouTubeで、日本画部門で「日展挑戦31回」という動画を見た。愛知県の高校教師・福岡正臣(51歳)だ。これまで18回の入選、12回の落選で2012年には特選を獲得した実力者だ。今年の作品は魚のヒレに美しさを感じた作品だと仕事場で語っていた。今年は入選かどうかと思わせ振りに番組は終わっていた。
1階の日本画から見て回る。福岡正臣の「ひらく」は入選である。魚の「開いたヒレ」が描かれている。私が名を覚えた作者が一人増えた。続いて2階の洋画へ。「遠き日」と題した和服の若い女性を描いた沖縄県・玉城栄一の作品も入選。東京の会員による夜明けの桜島「黎明」があった。「赤瓦の集落(沖縄)」は埼玉の会員の作品。どうしても鹿児島・沖縄に関心が向く。
彫刻会場に入ると、すぐに鹿児島の丸田多賀美の「あゝ、可笑しい」という作品(樹脂)が目に入った。これほど強烈な個性を持つ作者を私は他に知らない。妊婦と年輩の婦人が楽し気に談笑している。このように庶民の生活をテーマにすることが多い。鹿児島の大御所で日展顧問の中村晋也は「菰野の光」(樹脂)だった。菰野(三重県)に縁あって親しくしていた人がいて、一緒に散策した折の姿を表現したという。これまで歴史上の人物像が多い中で、これは異色だ。