歌集「サラダ記念日」で社会現象を巻き起こした俵万智さんが、昨年第七歌集「アボガドの種」を出版した。短歌を始めて40年がたち俵さんは還暦を過ぎた。20代、30代では恋愛の歌を、40歳で男児を出産し、シングルマザーとして子育をする。父親が誰なのか公表していない。
1911年の東日本大震災による福島原発事故のため、仙台から沖縄へ移住する。この移住がちょっとした話題になった。沖縄に住んだ5年間は子どもの歌を数多く詠んでいる。子供の教育を考えてのことだろう沖縄から宮崎に移住する。
一昨年春に息子は大学に進んだ。これを機に6年半暮らした宮崎から高齢となった両親と暮らすため仙台に移る。この頃悪性リンパ腫の治療を受けて寛解し「病気して初めて自分の心を支えてくれていたのはこの身体なんだ」と気付いたという。「これまでと変わらず日常を味わって生きていけば、歌を続けていける」という思いを述べている。
「言葉から言葉をつむがずテーブルにアボガドの種芽吹くのを待つ」AIが瞬時に短歌を作成する様子を目の当たりにして詠んだ歌という。言葉から言葉をつむぐことならAIにもできるが、ゼロから言葉を生み出すことは人間にしかできないとの思いを込めた一首だ。