職業に貴賎なしと言われますが、仕事には表裏があります。
誰にも見える表の仕事と、見えにくい裏の仕事です。
裏の仕事は、見えにくいところに価値があります。
隠されているのではなく、見えないことがだいじなのです。
覗き見の好きな客に喜ばれる、調理場を客に見えるようにした飲食店があります。
そんな店でも、だいじなところは見せません。
見えにくい裏の仕事を、下働きと呼ぶことがあります。
それでも、見える表の仕事を、上働きとは言いません。
上働きがないのは、仕事に上下はないなどという綺麗模様なことではないでしょう。
人が人の上に立ったつもりになると自分では働かなくなるので、上働きという言葉は生まれようがないのかもしれません。
こう書かれたパンフレットがあります。
「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。
働く人の働き方は、自分では働かない人が決める仕組みになっています。
それを、がらがらと変えることはできないでしょう。
改革と呼ぶならばそれは「働き方」ではなく「働かせ方」が対象にならなければならないのであって、働くほうに責任があるかのようなこの呼び方は、ずっと疑問になっているところです。