県知事が、国際芸術祭という行事の実行委員会会長でありながら、「よきにはからえ」のお任せ気分だったのか、あるいは口をはさめないような空気がつくられてしまっていたのかはわかりませんが、とんでもない展示物を出させてから引っ込ませたという騒ぎが起きました。
躊躇しながらも引っ込ませる理由づけがほしかったときに、きっかけを与えてくれたのが、やや過激にも読み取れるあのギャグだったと思います。
時事ドットコムニュースでは、知事は「ガソリン携行缶を持って行く」という京都アニメーションの放火殺人事件を想起させるファックスもあったと明かしていると報じていますが、文面がどうであったのか、正確な報道は見つかりません。
もう少し丁寧な言葉を使って、これを伝えていた人もいます。
いずれにしても、火を着けるぞとまでは書かない心遣いはあったようです。
ところが、時の氏神のようなこの発信者を、探し当てて逮捕させるという、助けたカメを蹴とばしてとでも唄われそうなことを、この権力者はやってのけました。
自ら注意の行き届かなかったことの始末の付け方の舞台を、他に罪人を仕立て、問題の軸心をパッと入れ替えるこの演出が、芸術的な方法とでも思っているのでしょうか。