ダムは魔物である。
隣国では、貯水可能とされる水位約2割を残しながら大量放水をしていると聞く。
ダムが壊れそうで危なければ、発電の名目で、下流の洪水を承知で放水、日本では考えられない。
ところが、この日本でも、いま大洪水が起きている。
その球磨川には、荒瀬ダムという大きなダムがあったのに、日本初のダム撤去という珍工事をやってしまった。
川の流れを止めることが自然に逆らうという文学的発想からか。
平常の水量ならば観光にも環境にも甚だ好都合だったが、平常でなくなったときどうなるか、それを徹底検討したのだろうか。
ダメならまた作ればとは、まさか考えなかったとは思うが。
ダムをなくせとか、進んでいる工事をやめてしまえとか、権限を握った人が考えやすいのも、ダムがもつ魔力の一つであるようだ。
水が引いたら、元に戻して終わりではなく、流域近くに住む人々にひどい苦汁を再三なめさせないよう、省庁領域の枠を超えて真摯な共同研究を進めてもらいたいと思う。
官房長官が振る旗を待たずに、閣僚も関係議員も官僚も、それぞれ自分の旗を持っていてほしいものである。