鉄道の高架橋から鉄板が降ってきた。
偶然けが人がなくてよかったが、これが逆の偶然で通行人の頭にでも当たっていたら大事件だった。
1年半前に点検したときには異常がなかったというが、異常かその兆候があっても見つけられなかったか、そういう見方をするようになっていなかったかだろう。
こういうものの構造は、大地震で高架橋全体が落ちるのでなければ、ふだん部品が落ちるようなことがあってはならない。
構造設計がよくないのだ。
現場作業が楽なように、「効率性」という名目が、設計者の頭にこびりついていると、部品が外れて落ちるような、こういう設計をしてしまう。
外れて落ちたのだから、ねじも4本止めではなかったか。
そのねじ止めも、ねじ込む相手が雌ネジになっていてそこにボルトをねじ込むのではなく、少し小さめの穴に雄ネジをむりやりねじ込んで止めてしまう、早くて安けりゃ上等という、あのタッピングではなかったか。
橋の上をガタガタと列車が走れば、取り付けた鉄板にも、締め付け部分にも振動が伝わり、いつかは緩み始める。
振動があれば、締め付け部分は必ず楽なほう緩むほうに位置を変えようとする。
振動でいっそう締まっていくことはまずない。
締めたネジが回ってはならず、たとえそれが1本抜け落ちても止めたものが動き出してはならない。
仮にネジが全部抜け落ちても、その部品は外れて落ちることがない、そういう構造にしておけば、チェックリストに印をつけるだけの点検作業など要らないのだ。
構造設計をする人は、作業効率だけを考えず、安全状態の維持寿命を考える習慣を身に着けていって欲しいと思う。