(GIF/source)
あきらめかけていた。
そのときふと目についたのが蜘蛛の巣を張る様子であった。
杉の梢にやっと張ったと思えば、糸が風にあおられぷつんと切れる。
蜘蛛は落ちてぶーらぶら、命さえ危なかろうに。
と,おもうまにまた這い上がってきて糸を伝え始めたが、伝えれば切れ、伝えれば切れ、難儀しながらも4度目にして初めて糸を渡すことができた。
やっとこさ張り終え待つこと暫く、そこに蚊が掛かるも巣は元の木阿弥。それでも獲物をせっせと貯蔵する姿は実に楽しそうであった。
そしてなおまた一から糸を張ることを繰り返し始めた。
一寸の虫でさえ心長くやり遂げるを見るにつけ、気短に物事をあきらめかけた自分を反省し、思い直したのである。
(参照:・・見越しの大竹より、杉の梢に蜘蛛の糸筋はえて、是を渡れば風に切られて、中ほどより其の身落ちて、命もあやうかりしに又も糸掛けて伝えば切れ、三度まで難儀にあひしに、終に四度目に渡りおおせて、間もなく蜘蛛の家を作りて、飛蚊の是にかかるをおのが食物にして、猶猶、糸くりかへすを見て、あれさえ心なかく巣をかけおおせて楽しむなれば、いはんや人間の気短に物毎打捨ることなかれと、是より思いつきて・・。-切抜/井原西鶴「日本永代蔵」より-)
あきらめかけていた。
そのときふと目についたのが蜘蛛の巣を張る様子であった。
杉の梢にやっと張ったと思えば、糸が風にあおられぷつんと切れる。
蜘蛛は落ちてぶーらぶら、命さえ危なかろうに。
と,おもうまにまた這い上がってきて糸を伝え始めたが、伝えれば切れ、伝えれば切れ、難儀しながらも4度目にして初めて糸を渡すことができた。
やっとこさ張り終え待つこと暫く、そこに蚊が掛かるも巣は元の木阿弥。それでも獲物をせっせと貯蔵する姿は実に楽しそうであった。
そしてなおまた一から糸を張ることを繰り返し始めた。
一寸の虫でさえ心長くやり遂げるを見るにつけ、気短に物事をあきらめかけた自分を反省し、思い直したのである。
(参照:・・見越しの大竹より、杉の梢に蜘蛛の糸筋はえて、是を渡れば風に切られて、中ほどより其の身落ちて、命もあやうかりしに又も糸掛けて伝えば切れ、三度まで難儀にあひしに、終に四度目に渡りおおせて、間もなく蜘蛛の家を作りて、飛蚊の是にかかるをおのが食物にして、猶猶、糸くりかへすを見て、あれさえ心なかく巣をかけおおせて楽しむなれば、いはんや人間の気短に物毎打捨ることなかれと、是より思いつきて・・。-切抜/井原西鶴「日本永代蔵」より-)