(picture/source)
「たし算ができるの?」白のクイーンがたずねられました。「一たす一たす一たす一たす一たす一たす一たす一たす一たす一は、なに?」
「わかりません」とアリス。「数えられませんでした。」
「たし算ができないのよ、この子。」赤のクイーンが口をはさまれました。「引き算はできる? 八引く九は?」
「八引く九なんて、できません。」アリスはすぐに答えました。「でも・・」
「引き算もできないわ」と白のクイーン。「割り算はできる? パンをナイフで割ります、答えは?」
「ええっと・・」アリスは答え始めましたが、白のクイーンが代わりにお答えになってしまいました。「バターつきパンですよ、もちろん。別の引き算をしてごらんなさい。イヌから骨を引きます。答えは?」
アリスは考えました。「骨を取ってしまったら、もちろん骨は残らないし・・イヌも残らない。かみつきに来るだろうから・・そしたら、わたしも残らない!」
「では、なにも残らないということ?」と赤のクイーン。
「それが答えだと思います。」
「また、まちがい」と赤のクイーン。「イヌのおちつきが残ります。」
「でも、どうして・・」
「だって、いいですか!」と赤のクイーン「イヌはおちつきをなくすでしょ?」
「たぶん。」アリスは慎重に答えました。
「じゃあ、犬がいなくなれば、おちつきが残るでしょ!」クイーンは勝ちほこってさけばれました。
アリスはできるだけ重々しく言いました。「おちつきは、イヌとは別に、なくなっているんじゃないかしら。」
でも、
なんておそろしく意味のないことをわたしたちは話しているのかしら!と思わずにはいられませんでした。
-切抜/ルイス・キャロル(河合祥一郎訳「鏡の国のアリス」より-
「たし算ができるの?」白のクイーンがたずねられました。「一たす一たす一たす一たす一たす一たす一たす一たす一たす一は、なに?」
「わかりません」とアリス。「数えられませんでした。」
「たし算ができないのよ、この子。」赤のクイーンが口をはさまれました。「引き算はできる? 八引く九は?」
「八引く九なんて、できません。」アリスはすぐに答えました。「でも・・」
「引き算もできないわ」と白のクイーン。「割り算はできる? パンをナイフで割ります、答えは?」
「ええっと・・」アリスは答え始めましたが、白のクイーンが代わりにお答えになってしまいました。「バターつきパンですよ、もちろん。別の引き算をしてごらんなさい。イヌから骨を引きます。答えは?」
アリスは考えました。「骨を取ってしまったら、もちろん骨は残らないし・・イヌも残らない。かみつきに来るだろうから・・そしたら、わたしも残らない!」
「では、なにも残らないということ?」と赤のクイーン。
「それが答えだと思います。」
「また、まちがい」と赤のクイーン。「イヌのおちつきが残ります。」
「でも、どうして・・」
「だって、いいですか!」と赤のクイーン「イヌはおちつきをなくすでしょ?」
「たぶん。」アリスは慎重に答えました。
「じゃあ、犬がいなくなれば、おちつきが残るでしょ!」クイーンは勝ちほこってさけばれました。
アリスはできるだけ重々しく言いました。「おちつきは、イヌとは別に、なくなっているんじゃないかしら。」
でも、
なんておそろしく意味のないことをわたしたちは話しているのかしら!と思わずにはいられませんでした。
-切抜/ルイス・キャロル(河合祥一郎訳「鏡の国のアリス」より-