南無煩悩大菩薩

今日是好日也

喩えば暗と隠

2020-09-18 | 世界の写窓から

(picture/source)

嘘は河豚汁ふぐじるである。

その場限りでたたりがなければこれほどうまいものはない。しかし中毒あたったが最後苦しい血も吐かねばならぬ。

その上嘘はまこと手繰寄たぐりよせる。黙っていれば悟られずに、行き抜ける便たよりもあるに、隠そうとする身繕みづくろい、名繕、さては素性すじょう繕に、うたがいひとみ征矢そやはてっきりまとと集りやすい。

繕はほころびるを持前とする。綻びた下から醜い正体が、それ見た事かと、現われた時こそ、身の※(「金+肅」、第3水準1-93-39)さび生涯しょうがい洗われない。

ー夏目漱石「虞美人草」より

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