(紫蘭/photo source)
たとえばむかし、足利尊氏は洛西等持院の境内にあった一本の松をこの上もなく愛していたという。
それはほととぎすの松といって、ほととぎすが巣をかけたことのある名木だった。その時代はともかく、今ではこの鳥はどんな場合にも、自分では巣を組まないで、鶯の家へなどへこっそり卵を産み落し、つまり托卵で雛をかえさせるので知られているほどだから、ほととぎすの巣だと思いながら、それは鶯の巣だったかも知れない。
梅に鶯なんていうものも、鶯はほとんど梅では啼かないようで、梅の木にいるあれはメジロだったりするようだ。
またたとえば日本の伝統色、その色分けは1000色以上とも言われている。たかがクレヨン12色ぐらいしか知らないくせに、「色んな意味で」なんていう類のたいそれたことを私が言える立場にないことは至極当然である。
でも私なりに何かを言いたいときもある。
だからそんなとき、ついつい小さく仕舞に付けてしまう。
「知らんけど」。