南無煩悩大菩薩

今日是好日也

ねがひ

2020-02-11 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
何処か知らない遠いところを思い ただそっと座っている
来るものは来る 形のあるものは無くなる 善も悪もない
何処か知らない遠いところを思い ただそっと座っている

手に粗末な器を一つ持ち 米を欲しいでもなく 欲しくないでもなく
ぼーっと広く そして優しく一つところを見て
この地の上に 黙って立っている

そんなふうにありたい。

遠く、遠く突き出た岬のはな、右も、左も、まん前もすべて浪、浪、
僅かに自分のしりへに陸が続く。
そんなところに、いつまでも、立っていたい。

咲き、散り、咲き、散る
とりどりの花のすがたを、まばたきもせずに見ていたい。
萌えては枯れ、枯れては落つる、
落葉樹の葉のすがたをも、また。

山と山とが相迫り、迫り迫って其処にかすかな水が生れる。
岩には苔、苔には花、
花から花の下を、伝い、滴り、
やがては相寄って 岩のはなから落つる
ひとすじの糸のような まっしろな瀧を、ひねもす見て暮したい。

いつでも、ほほえみを、眼に、こころに、やどしていたい。

自分のうしろ姿が、いつでも見えてるように 生きたい。

日本国中にある 樹のすがたと、その名を、知りたい。

おもう時に、おもうものが、飲みたい。

欲しい時に、燐寸(まっち)よ、あってくれ。

煙草の味が、いつでも うまくてくれ。

麦酒が いつも、冷えてると、いい。

(参照抜粋 / 草野天平「ひとつの道」、若山牧水「空想と願望」より)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Time Doesn't Exist | トップ | 良酒は誘う大海原へ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

壹弍の賛詩悟録句樂帳。」カテゴリの最新記事