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その昔フランスの貴族が馬車の御者を一人募ったところ数名が応募してきたので、試験をすることになりました。
その問題は、「馬車が危険なところへ臨んだ時にはどれくらいで御することができるか」というものです。
一人は「10メートル手前であれば十分に止めることができます」
次の一人は「わたしなら2メートル手前でも止めることができます」と言いました。
また一人は「なんの私は20センチ手前でも止めることができます」と言いました。
しかしどれも不採用で、採用された御者の答えはこうでした。
「私は決してそのような危険なところへは、馬車を進めません」。
また、こんな話もあります。
天下分け目の関ヶ原の合戦の時、東軍は何人かの偵察を出して西軍の軍勢を探らせました。
ある者は「8万の軍勢でござります」またある者は「10万にも上りましょう」などあったなかに一人「一万には過ぎますまい」という者がおりました。
大将家康はその者を呼んで「敵は大軍じゃ、一万とは怪しい」と問い返したところその答えはこうでした。
「左様、敵は7,8万はありましょう。けれど両軍の勝負を計り、身に賭けて戦に志す者は、石田、小西等の頼み切った者どもかれこれ一万に過ぎませぬ。その他は一陣が破れるとすぐにでも戦わずして敗走する手合いで、数えるまでもございませぬ」。
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