後姿を見て育つ。
とはよく言われることでございます。
姿態のことではございません。
何もかもひっくるめた姿がそこにございます。
それなりの嘘のない姿とでも申しましょうか。
仮面で隠さない姿勢とでも申しましょうか。
答えも教えられるより観て感じて探した方が見つかるようであります。
教えられるとどうしても多少眼が曇るのでございましょう。
経験を自分のものにする。のにどのような按配かと申しますれば。
押し付けられて覚えるのは10%
観て覚えるのは20%。
聞いて覚えるのは30%
観て聞いて覚えるのは50%
実際にやってみると90%は覚えている。らしいのでございます。
石の上にも3年とは。
観て聞いてやって(生きて)みて。3年ということでございましょうか。
ともすれば人生7~80年。20数回は答えのチャンスが巡っておることになります。
後姿とはその間の生き様が出てくるものでもありましょうや。
・・・・・。
この石仏さんは齢400年の後姿。
自分は生きた分だけの後姿になっているだろうか?
見た目じゃないのよ。
問題はだ。自分の後姿は見えないんだなぁ。
これが。
振返っても見えないってことよ。
とても内輪の事で恐縮なのですが、長い間夫の
後姿を見ていないことに気づきました。
最近は夫が出掛けますにも、見送ることもなく
家の中でも夫の後姿を、きっと見てはおりますが
意識したことはありませんでした。
先日、まったく何事もないふとした瞬間に、夫の
背中が目に入りました。わたくしは夫に対しては
「いつも若くて力強く、頼り甲斐のある」との
印象で過ごしてきました。ところが
嗚呼!目に映りましたのは白髪混じりの中年でした。
明日からはもっと笑顔を、優しい言葉を持とう
そう決めました。
私も愚妻の後姿を見つめてみようと思います。
なかなか「前を見る」勇気が年々薄れておりますゆえ。 お互い様だといわれますが。