じたばたせずに、神妙にお縄になりなさい。
なにをおっしゃる。うさぎさん。
ひび割れたガラス戸みたいな網には引っかからないよ。
申したな。この絶妙の捕縛網が理解できぬと見えるな。
からめてからめてカルボナーラ。の威力を馬鹿にすると泣きをみるぞよ。
それに。わしは、うさぎさんじゃない。雲助でもない。蜘蛛やぞ。
蜘蛛が苦もなく生きていけるわけではないようですね。
見たところここ何日も獲物はなさそうじゃありませんか。
こしゃくな。ちょこざいな。武士は喰わねど高楊枝。というのじゃ。
わしゃな。この芸術的な罠が成功しないのなら、飢え死にしようが本望じゃわい。
あ。誰や。わしの罠をあみだくじにして遊ぶ奴は。
・・・。
トラップを仕掛ける。
網を潜り抜ける。
捕捉しようとする。
捕捉されまいとする。
喰う。
喰われる。
浮世のことわり。
行く手を阻む蜘蛛の巣。
みつけた。
回り道するとするか。
ん!
やられた。次のに引っかかってしまったのである。
やるなぁ。これぞ罠!
蜘蛛の糸のお話であれば、やはり芥川龍之介の
代表作『蜘蛛の糸』を思い出さずにいられません。
お釈迦様は1本の蜘蛛の糸を地獄へ降ろしました。
地獄へおちているカンダタが生前蜘蛛を踏むことを
思いとどまったことが一度だけあったからでした。
必死に糸を登り、ふと下を見たカンダタは多くの
地獄の者達も蜘蛛の糸にしがみついてくるので
足でその人たちを蹴り落としました。
そこで、お釈迦様はカンダタのつかまっている糸も
切ってしまわれました。勿論、カンダタは元の
地獄へ落ちてしまいました。
と、誰もがご承知のストーリーですが、
何か別の完結はなかったのでしょうか。
良い行いばかりするよう頑張らなくちゃぁ
豆はまめに食べておりますが、助けた訳ではありませんので、納豆の糸が降りてくるかどうかも疑問です。
どちらにしても、こんな話では、誰もなっとうくしてくれないでしょう。
失礼しました。