(painting/Janina Magnusson)
無縄自縛という言い回しがある。縄はどこにもないのに、自分勝手に無い縄で自分を自分で縛る。
「むじょうじばく」と読む、これは考える葦として避けがたいことのようでもある。
人間ほど妙な動物はない。頭で何かこしらえて、そのこしらえたもので、自ら悩まされている。無い縄を想像的につくり出してそれに縛られることで悩んだり怒ったり喜んだりしている。
猫はニャンとないたり犬がワンとほえたりするが、犬や猫自身が、なぜニャンなのかワンなのかと自省したり悦に入ったりすることは無いようである。
そもそも初めから縄を編まなければいいのだが、どうも本能とやらが承知しないようで、卑やら誉れやら善やら悪やらとなにかと編み出す。
自分でつくったことなのだから自由にどうにでもなるはずが、なんともならず困ってくるという、いたく滑稽な反応だともいえる。
進行する歴史は、そんな反省でいっぱいだが、有史以来、代々生まれ来る人間は相も変わらず懲りずそんなことを繰り返している。
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