バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

一筆書きの福笑い

2012-10-05 11:21:51 | 
 裸婦デッサンは今回で6回目。
 最初から木炭で通している。
 当初は何をどうするのかわからなかったが、枚数重ねるうち、何をどうしてもいいんだということがわかり、こうしたいが芽生え、そして「こうしろ」という被写体の声を感じた今回。ほとんどを制限時間の半分程度で描き上がるようになった。もうこれ以上手を加えると無駄な線が増えてしまう。だから残り時間は何もしないで待つ。そんな制作を続けた8枚目。いつもなら後ろで何か言う先生が、今回は7枚描きあげるまで何も言わなかったのに、そこで初めて話しかけてきた。

「なにか無理にあてはめようとしている。これ以上は言わないから、どうするかは自分で気づくように。とにかく悩んで、苦労した方がいい。」
 
 目の前に、本物の肉体がある。そのリアルを前にすると、肉の盛り上がりに吸い込まれる。部分に魅了される。塊をとらえ、動きをつかむ。こんなやりとりを画面でやっていたにもかかわらず、頭で感じ、頭で描いていた。それは、日頃油絵を描く時の癖なのかもしれない。最初のデッサンは実物でやったけど、その後は写真とイメージで色を置いて描きあげている。人体はリアルさも大事だけど、それよりも色の調和を大切にしている。もちろん毎回目の前にモデルがいるならそれにこしたことはないが、そうはいかないから、わからなくなると写真で確認する程度で仕上げに向けている。

 なんたることか。
 今は目の前にモデルがいる。なのにさっきから画面ばかり見ているではないか。
 油絵で人体の細部がわからないから、こうしてデッサンをはじめたはずなのに。

 次の1枚は、できる限り画面を見ないで描くようにした。モデルだけを見る。こうだと感じ手を動かす。
 そう言えば思い出した。小学生の工作の時間、担任の先生はこう言っていた。鏡を見ながら自分の顔を描く時、画用紙を見ないで一筆書きみたいに描く様にと。そして出来上がった福笑いみたいな顔に、みんなで大笑いしたっけ。
 ああ、あれだと思いながら、しっかり5分間描く。
 
 何かわかった感あり。多分合っていると思う。
 
 答えは当分教えてもらえないと思っていたら、師曰く、「さっきは彫刻の人がやるような捉え方をしていた。そういう捉え方もあるけど、動きを捉えてほしかった。」
 帰り際に答えのような一言が。これが答えかわからないけど、少しすっきり。そして超ぐったり。

 

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