大学のリーグ戦を応援しに、市川へ行く。
道中は土手道。気温は25度。カラリとしていて気持ちがいい。空気が透明で、土手の緑が鮮やかに見えるなと思い窓を見ると、いつからそこにいるのか、バッタがはりついていた。
家を出る時からそこに居たのだろうか。今ここで風に飛ばされたり、ヒョイッと飛び降りたらそこは見知らぬ街。もう家族とも友達とも永遠の別れになってしまうではないですか。
しばらく走りふと見るとまだそこに居る。まったく飛び降りる気配はない。どこまでも、どこまでもそうやって車に張り付いている。
で、観察を続けると、ヤツはただ張り付いているのではない。飛ばされないように、必死になっている。前足、後ろ足、4本足をしっかり広げ、関節をくの字に曲げ、力を込めている。時折風に流されそうになり数センチずり落ちると、元の位置に戻ろうとする。触覚は風に飛ばされ続けているから、頭頂部毛が2本のハゲオヤジみたいにフリフリしている。大事な触覚、飛ばされそう。その触覚の先は枝毛状に別れている。風が吹き付けているうちに、触覚の先乾燥して割れちゃった? いや、ずーっと見ていると、それは4本あるように見える。一つの毛穴から2本ずつ生えているかのよう。触覚って本当は4本?
途中左の手で顔を数回拭う。汗? その間3本足で体を支える。続いて右後ろ足を窓から外し、ブラブラさせている。足つった?
土手沿いの道はずーっと信号ないから飛び降りるチャンスがない。車のスピードも落ちないから、休む事もできない。
ようやく最初の信号で止まる。ほら、飛び降りるなら今だ、と言えど、ヤツは大きなため息ついている。あー、生きた心地しなかったといわんばかり。
車はまた走り出す。慌てて四肢に力を入れる。
土手沿いの道は終わり、往来の激しい道に出た。車の速度は落ちた。しかし今ここで飛び降りてはいけないよ。トンネルに入る。すると動きが活発になった。たたんでいた体の大きさくらいある巨大なあと2本の足を伸ばし、そのとっておきの足でガラスをグイッと蹴り、いきなり移動。まずーい、ここで降りちゃ。と思うがトンネルを抜けたら,カッチャンと巨大足を元の位置にたたみ、また4本足でガラスに張り付く図に戻った。さっきとは違う右手で顔を拭う。
こんな1時間のドライブの後、目的地駐車場に着いた。また大きなため息をついた。やれやれか?
もうここで降りた方がいいと思うが、放心状態なのか動こうとしないので、前足をツンと触る。なにすんの、と足を除ける。もう一度ツンとすると。グッタリしているその姿からは想像できない元気な跳躍を見せ、ピーンと1メートル程跳ねた。しかし駐車場のアスファルトに飛び降りたまま動かない。もう一度ツン、更にもう一度ツンとすると、草むらに飛び込んだ。
ほんと、やれやれ。
道中は土手道。気温は25度。カラリとしていて気持ちがいい。空気が透明で、土手の緑が鮮やかに見えるなと思い窓を見ると、いつからそこにいるのか、バッタがはりついていた。
家を出る時からそこに居たのだろうか。今ここで風に飛ばされたり、ヒョイッと飛び降りたらそこは見知らぬ街。もう家族とも友達とも永遠の別れになってしまうではないですか。
しばらく走りふと見るとまだそこに居る。まったく飛び降りる気配はない。どこまでも、どこまでもそうやって車に張り付いている。
で、観察を続けると、ヤツはただ張り付いているのではない。飛ばされないように、必死になっている。前足、後ろ足、4本足をしっかり広げ、関節をくの字に曲げ、力を込めている。時折風に流されそうになり数センチずり落ちると、元の位置に戻ろうとする。触覚は風に飛ばされ続けているから、頭頂部毛が2本のハゲオヤジみたいにフリフリしている。大事な触覚、飛ばされそう。その触覚の先は枝毛状に別れている。風が吹き付けているうちに、触覚の先乾燥して割れちゃった? いや、ずーっと見ていると、それは4本あるように見える。一つの毛穴から2本ずつ生えているかのよう。触覚って本当は4本?
途中左の手で顔を数回拭う。汗? その間3本足で体を支える。続いて右後ろ足を窓から外し、ブラブラさせている。足つった?
土手沿いの道はずーっと信号ないから飛び降りるチャンスがない。車のスピードも落ちないから、休む事もできない。
ようやく最初の信号で止まる。ほら、飛び降りるなら今だ、と言えど、ヤツは大きなため息ついている。あー、生きた心地しなかったといわんばかり。
車はまた走り出す。慌てて四肢に力を入れる。
土手沿いの道は終わり、往来の激しい道に出た。車の速度は落ちた。しかし今ここで飛び降りてはいけないよ。トンネルに入る。すると動きが活発になった。たたんでいた体の大きさくらいある巨大なあと2本の足を伸ばし、そのとっておきの足でガラスをグイッと蹴り、いきなり移動。まずーい、ここで降りちゃ。と思うがトンネルを抜けたら,カッチャンと巨大足を元の位置にたたみ、また4本足でガラスに張り付く図に戻った。さっきとは違う右手で顔を拭う。
こんな1時間のドライブの後、目的地駐車場に着いた。また大きなため息をついた。やれやれか?
もうここで降りた方がいいと思うが、放心状態なのか動こうとしないので、前足をツンと触る。なにすんの、と足を除ける。もう一度ツンとすると。グッタリしているその姿からは想像できない元気な跳躍を見せ、ピーンと1メートル程跳ねた。しかし駐車場のアスファルトに飛び降りたまま動かない。もう一度ツン、更にもう一度ツンとすると、草むらに飛び込んだ。
ほんと、やれやれ。