去年(2024年)の11月にユーザー車検についての作業を行っています。無事、車検を通して走行されていたのですが、寝ていたバイクを走行させると不具合が発生することはよくあります。
走行中のクラッチ板滑りでレッカー入庫です。クラッチ回りの部品は、新品純正部品をお持込です。写真は、交換した後です。
クラッチ板を交換してみて違和感を感じました。一番外側のプレートプレッシャーの位置が、いつより外側にある気がしたので、交換した新品プレートを触ってみると、少し動きました。圧着状態であればプレートは動かないので、やはり位置がおかしいです。組間違いはなかったので、クラッチフルードの圧が抜けていないと思い、レリーズのブリードボルトを緩めるとフルードが出てきてプレートプレッシャーが奥に移動しました。
マジックでラインを書いておいたので、奥に1mmほど移動したのが見えると思います。フルードの圧が抜けていなかった原因は、マスター側にあるので、点検しました。レバー位置(取付含む)や外側に不具合は無いので、ピストン周りになります。通常フルードが入る穴は2個あり、レバーを握るとピストンが押され、奥側(写真上側)の小さい穴をピストンが通過してから圧力が掛ります。レバーを離すと奥側の穴が開くので、通常圧力がタンク内に逃げます。今回の原因は、ピストン付近にゴミ等があり、圧力を逃がす穴を内側から塞いでしまったため、圧力が少しかかったままになったことが考えられます。マスター自体が劣化していたので、今回は、とりあえずフルードを抜き、掃除をして応急処置を行いました。オーナーと相談の上、後日ご自身でマスターのみを交換していただくことになりました。
写真は、レバーを握り、目一杯クラッチを切った状態です。プレートプレッシャーの移動量は、圧着状態から切れるまで、5mmも無いと思います。今回取り外したクラッチ板です。
リアブレーキも圧力が掛り気味になっていたので、ピストンの動きをチェックし、リザーブタンクのフルードを少し抜きました。パッド交換等の際ですが、ピストンを戻した際、フルードが多すぎるとピストンに圧力が掛りパッドを押すことがあるので、要注意です。
最終チェックと試乗です。とりあえず走行できる状態になったので、納車になりました。
2024.12.22 作業担当 ヤダ