水の門

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一首鑑賞(85):角田靜恵「クリスマスカラーの菓子袋受く」

2021年12月29日 10時40分47秒 | 一首鑑賞
会食も茶会も中止の降誕節クリスマスカラーの菓子袋受く
角田靜恵(『信徒の友』2021年4月号「読者文芸」欄より)


 今年の9月上旬、コロナ禍の教会でのクリスマスについて一本は一首鑑賞を書いておきたいと思って、『信徒の友』のバックナンバーの文芸欄を見直していた。角田の掲出歌もそのうちの一首で、ああ2020年のわがN教会も同じことをしたよなぁと感慨にふけった。自然と今年のクリスマスの祝会は開催するのか否かなどに思いが及び、どう考えても愛餐会・祝会は無理ではないだろうかと考えを巡らすうちに、今年のクリスマス礼拝後に配るお菓子袋に入れる俳句のミニカードを思いついて、半ば操られるかのようにパソコンを起動し、その原案をすぐ作ってしまった。
 その俳句は、高田たづ子氏の「クリスマス地球にリボンかけるかな」という句である。私は俳句は余技程度の嗜みしかないが、2018年のバザー向けに俳句のアドヴェントカレンダーを作成・出品した関係で、クリスマスの俳句だけはネットを駆使して調べ尽くしていたので、俳句のミニカードの案を思いついた時には高田の俳句がパッと浮かんだ。翌週半ばに教会へ週報などを取りに行った際に、牧師先生にクリスマス礼拝関係の事柄の見込みをお尋ねした上で、一応形になった原案をワープロソフトで開いた状態のパソコン画面をスマホで撮影した写真をお目にかけ、「もし祝会ができそうもなかったら、こういうミニカードを菓子袋に入れるのもいいんじゃないかと、勝手に作りました。ただご提案です」と申し上げた。牧師先生は少し煙に包まれたかのような顔つきをなさっていたが、とりあえず話はそこまでにして私は帰った。
 2020年春先からのコロナウイルスの急速な感染拡大に伴い、イースター愛餐会・祝会も中止になったが、実はその祝会は私の所属する委員会が計画していた。2019年の年末の委員会で私は目玉企画「イースター俳句穴埋めクイズ」を提案し、俳句選び・出題の仕方など着々と準備を進めていたので、出鼻を挫かれた感が強かったが勿論このようなご時世では仕方ない。感染者数は上下しつつも状況は収束に向かわず、2020年のクリスマスも、2021年のイースターも、結局愛餐会・祝会は行われず、今年の11月の長老会で2021年のクリスマスも愛餐会・祝会は行われないことが決定した。私はクリスマス菓子袋用のミニカード原案を完成させ、そのプリントアウトを三枚、牧師先生・牧師夫人・委員長にご確認いただくために11月最後の礼拝に持参した。お菓子の準備・ラッピングは牧師夫人と委員長でするということだった。私はクリスマス礼拝の当日を楽しみに待った。
 クリスマス礼拝は“密”を避けるために、二回に分けて行われた。私は二回目の礼拝に出席した。二回目の礼拝の当番で受付をなさっていた委員長が開口一番「凄く可愛いよ!」と仰った。帰りに一つお土産のお菓子をいただいた。それがこれである。

 ミニカードの裏面には、「これらすべてに加えて、愛を身に着けなさい。愛は、すべてを完成させるきずなです。」 (コロサイの信徒への手紙3章14節)という聖句も印字した。——コロナウイルス感染症がいつ収束するのかは分からない。けれど、地球上の皆さんをイエスの愛が包んでいてくださいますように、との願いをささやかなカードに込めた。
 『信徒の友』2021年11月号文芸欄に、八ヶ岳というペンネームの方の「教会で集いて川柳作りたい」という川柳が掲載されていたが、まさに我が意を得たり、と思った。教会の祝会で俳句穴埋めクイズができる日が早く来ますように、と心から願う。

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