昨日、涼しいバリから暑苦しい大阪に戻り、
膨大な数の写真を編集しているうちに一日が過ぎてしまいました。
数日間とは言え、せっかく行ったのですから私の見たバリについて、
少し書いておきたいと思います。
どこでも、食わず嫌いせずに行ってみるものですね。
実際に行くことによって、そこが〈自分とは関係ないところ〉から
〈自分がそこで生活したところ〉に変化し、
一気に身近になるから不思議です。
東京都の2.5倍程度の小さい島に
どうしてこんなにも大勢の人々がやってくるのか不思議なほど、
世界中の人々がバリ島に来ていました。
みんなが皆、お金持ちの雰囲気でもありません。
世界中の普通のおじちゃん・おばちゃんたちが
大集合している感さえあります。
みんな、(よし、ここなら予算内で楽しめそう!)と思ってきたのでしょう。
何にも調べず、何も知らずに行ったのは私だけかも。
【①超高級ホテル:ザ・リッツカールトン・バリ】
私が教え子の滕さんと2人で2泊したリッツカールトン・バリの
ツインルームはこの時期、1泊37000円以上もします。
私が今までの人生で泊まったホテルのうち、最も高級であることは
言うまでもありません。
新婚夫婦の招待とは言え、否、招待だからこそ、
心に落ちつかなさを覚える私でした。
何km2もある広大な敷地に何棟もの客室用ビルが点在し、
私たちのビルから受付のメインロビーに行くのには、
車を使わなければ歩いて数十分もかかる有様です。
下がその車です。
専属スタッフが希望の場所に連れて行ってくれます。
私を見たスタッフは全員、一人の例外も無くにこやかに声をかけ、
あるいは両手を合わせて挨拶をしてくれます。
それは徹底したスタッフ教育の結果なのか、
あるいは、バリ人伝統のもてなす態度なのか迷いましたが、
おそらく前者だろうと思える機会がありました。
ある観光スポットを訪れたときのことです。
そこは高所からブランコに乗るところで、
係の人は毎日、毎日、朝から晩までブランコ乗りの手伝いばかり、
つまらなすぎて、もし自分がその仕事をする係だとしても、
ニコニコ笑顔も主体的にもてなす心意気も消沈してしまうのは必至です。
係の人たちは誰もニコリともせず、
「フロム ジャパン?こんにちは。お元気ですか。」
などとうわ言のように口から片言の日本語が出てくるのですが、
全く無表情で変化無しの顔が、リッツホテルのスタッフと対照的でした。
↓名前も分からない南国の花が咲き誇るホテルの広い庭園。
余立君さんのお母さんは庭園の花を髪に飾って
結婚式に列席しました。
2階の部屋から下を見ると大きなプールがあり・・・・・・
部屋にはエスプレッソを淹れるコーヒーメイカーが備わっています。
初めて使いましたが、大変美味しく淹れてくれました。
ビーチはプライベートかと思うほど静かで、誰もいません。
結婚式が始まるまで、一人で散策を楽しむ滕 碧霞さん。
世界中のリッチな人々はいつでも、いくらでも、
こういうバカンスを楽しんでいるのでしょう。
日本人客もたくさん泊まっていて、
(なんだ、日本は不況だとか言っても結構金持ちはいるもんだな)と私は驚きました。
あ、浜辺を誰かが歩いている!
何を持っているのかな、と思ってよく見ていると……、
それは大きなゴミ袋でした。
それで砂浜にはゴミが一つもないのです。
私の見た限り、バリ島は、ビーチだけでなく町も
掃除が行き届いて清潔できれいで、
世界有数の観光立国のプロ意識を垣間見た思いでした。
【②一人7000円のホテル:AMNAYA(アムナヤ)ホテル・クタ】
外から丸見えのフロント(左奥)。ドアが無く、出入り自由です。
滕さんと私は高級ホテルに2泊した後、
デンパサール空港(正式名称:ングラ・ライ空港)に近いクタ地区の
AMNAYA(アムナヤ)ホテルに移動しました。
日によって価格は微妙に異なりますが、いずれにしても
リッツ・カールトンに比べたらホッとする値段です。
しかし、私がホッとしたのは宿泊費だけではありません。
その1:スタッフのもてなしが半端じゃない
クタには実に多くのリーズナブルな値段のホテルがひしめいています。
ネットで調べてみると、何とその多くのホテルの中で、
このアムナヤホテルが人気No.1でした!
その理由は、
①スタッフの優しさが嘘じゃない。
②コスパが非常にいい。
というものでした。
私も滕 碧霞さんもそれを体感しました。
リッツとも、ブランコとも全く違うのです。
リッツカールトンだって優秀なスタッフたちが
たいへん上品かつ丁寧な物腰で接してくれていたのですが、
親しみ易さ・距離感の有無が異なります。
まさに「嘘じゃない」もてなしオーラが
スタッフの全身から発光しているのでした。
さらに、こちらは、
ホテルの入り口の作りからしてオープンマインド全開です。
下の写真で、左側に植物がずらりと並んでいますね。
実はそこはもう、外なのです。
入り口にドアも何にもなく、開けっぴろげなのに驚きました。
奥の壁に星のような、木の葉のような模様がありますね。
そこがフロントで、私たちが着いた時は夜9時前でしたが、
スタッフはとてもにこやかで、
且つ、質問にはとことん親切に繰り返し説明し、答えてくれました。
手前がロビーです。
チェックインでパッションフルーツのアイスティーを出してくれたホテルも
今までの人生で初めてです。
荷物を持って部屋まで案内してくれた女性スタッフは、
何と関西学院大付属高校に交換留学していたと英語で教えてくれましたよ(笑)。
下はフロントの壁。
このホテルをデザインした人のセンス、私は大好きです。
夜は、室内清掃スタッフが翌日の天気予報をカードに書いて
部屋まで持ってきてくれました。
各室をノックして配っているのです。
翌日の午後、ロビーを通りかかったときに、
花のお供えを作っていたスタッフが作り方を手取り足取り教えてくれました。
このお供えは毎日、家の前に置くそうです。
インドネシア国家全体ではイスラム教徒が80%を占めますが、
バリ島ではバリヒンドウー教が中心です。
容器のザルはココナッツの木(?葉?)を薄く長いテープ状にしたもので組み立てます。
ホッチキスではなく、細い竹の棒を刺して固定します。
ザルができたら、その上に花のお供えをきれいに盛り付けます。
下(手に持っているもの)は私が作ったお供えですのよ。
その2:一日ホテルに居たい気になるのんびり感満載
朝、7時からなんと!11時まで朝食タイム(無料と言うか宿泊費に含まれている)。
メニューもボリューム満点、10種類ぐらいから選べます。
盛り付けも味も十分満足しました。
特に特製ヨーグルトが美味しかったですよ!
さらに、午後3時からなんと!夜7時までアフタヌーンティータイム(宿泊費に含む)。
日本的にはすでに晩御飯の時間帯……。
自分で作ったお供え花を飾りました。
本来こんなところに置くものではないような気がしますが……。
4種類のスウィーツはココナッツ味、ういろう、抹茶、そして黒砂糖風味で、
私には嬉しい限りでした。
バリコーヒーは私にはいささか薄すぎでしたけど、2杯おかわりしました。
コーヒー、紅茶は自分勝手にいくらでもおかわりしていいんですよ~。
2階にジムやスパがあり、1階ラウンジの隣にはこじんまりしたプールも。
全て、宿泊費に含まれて居ます。
このプールの手前には写真と絵のミニミュージアムもあり、
一日中、ホテルの中での~んびり暮らせるムードがあります。
観光村に連れて行ってくれたバリ人のガイドさんによれば、
バリの魅力は、
1:ホテル 2:食べ物 3:海のリゾート地 4:海以外の観光地
だそうで、私は2軒しか知らないのですが、それでも、
ホテルがトップに来るのは納得しました。
【③セキュリティー対策から垣間見えるバリの危険度】
物価が日本よりずっと安く、
地元の人々も「ボーッとする時間を確保する」ことを
伝統的な基本習慣とするのんびりした生活ぶりにも拘らず、
バリ島もまた、爆弾「テロ」事件 から無縁ではありません。
2002年、クタの路上で車に仕掛けられた爆弾が爆発して、
200名を超える死者を出し、
2005年にはクタなど3箇所のレストランが同時に爆発し、
23名が死亡しました。
ISが「自分達がやった」と声明を出しており、
インドネシアをイスラム国家とするための攻撃だと看做されています。
現在、攻撃の矛先は警察とキリスト教関係の宗教施設に集中しているそうですが、
アベ政権がISとの対決をはっきりと打ち出してからは、
日本及び日本人も攻撃の対象とするとISは明言しており、
のんびりバカンスを楽しみに行って、事件に巻き込まれないとは言い切れません。
ホテルの「テロ」対策はどうなっているかと言うと、
リッツ・カールトンホテルは次のような対策を講じていました。
私が空港から車でホテルの入り口に着いた時、
二重の停止バーが行く手を遮り、
一人の保安要員がドライバー側の車のドアを開けて車内をチェックし、
別の保安要員が私が座っている反対側のドアを開けて
「失礼します。ただのチェックですから」
と言って中をジロジロと見るのです。
ゴーサインが出ると、
第三のスタッフがシュルシュルと紐を引っ張り、それによって
停止バーが上がっていくのには思わず
「手動かい!」と突っ込んでしまいました。
一方、クタの人気No.1ホテルのAMNAYA(アムナヤ)は、
何しろドアもないほどで、
保安員はホテルの外の看板の横に立っていますが、
ただ、通行人をニコニコと見ては手を合わせ、挨拶するだけです。
おそらく外国系ホテル以外は襲われたことがないからでしょう。
ザ・リッツカールトン・ホテルは外国系の代表ホテルですから、
非常に危機感があると思います。
世界の大観光地バリは火山の爆発、地震、そして、
爆弾「テロ」の可能性という3つの危険に晒されながらも、
地元の人々の多くは、訪れる人々に手を合わせて挨拶し、
心からのもてなしを続けていくに違いありません。
実は、私も(また行けるといいなあ)と思い始めているのです。
↑↓AMNAYAホテルのすぐそばのレストラン「SHINTA」で(滕 碧霞さん撮影)。
↓AMNAYAホテルの展示場の写真(滕 碧霞さん撮影)。
きっとこのブログを読んで、「今年の旅行はバリ島に決まり!」と思う人が続々かも・・・・・
バリ島の観光局?はブルーはーとさまに宣伝料を払わないと!と思うことでしょうね。
ホテルだけで、もうくたびれてバリ島の地域コミュニティー(村)に行った報告が書けませんでした~。本当はそっちのほうを中心にした方がよかったかも。また日を改めて書けたら・・・と思います。
バリのコミュニティーの人々は観光を政府任せにせず、大変主体的に取り組んでおり、日本でも学ぶべきところが大だなあと思えたのが今回最大の学習でした。