今は,バス・地下鉄共通の交通カードができて,ずいぶん便利になりましたが,一昔前は「トークン」というバス専用のコインを使っていました。もちろん現金払いもできますが,トークンを買うと少し割引になる。十回分のお金でトークンが11個もらえる。各停留所のそばの売店で売っていました。
それに現金払いはおつりをもらうのに不便でした。
バス会社が運転手を信用していないため,運転手にお釣り用の小銭をもたせない。したがって,1000ウォン札を出したお客さんは,お釣りがたまるまで,運転席のそばで待たなければならない。
運転手は現金払いするお客さんが料金を料金箱に入れる前にすばやく小さなざるを出して,そこに小銭を入れさせる。その小銭でおつりを払うわけです。この行動はお釣りを必要とするお客さんが現れるたびに行われます。あらかじめそれに備えて,現金を別の箱に貯めておけばいいのにと思いますが,そうすると「料金をネコババするのではないか」という疑いをかけられるので,運転手も嫌なのでしょう。お釣りがたまる前に自分が降りるべき停留所が来てしまうと、そのお客さんは涙を飲むことになる。
そんなわけで,客にとっても運転手にとっても,トークンのほうが何かと便利なわけです。
私が韓国に来た1996年は乗車料金が360ウォン。今は900ウォンですから10年で2・5倍になりました。タクシーの初乗りが1000ウォンから1900ウォンですから,バスの値上げ幅のほうが大きいですね。
バス料金はたびたび値上げされ,そのたびにトークンの価格も変わります。しかし,そのたびに新しい種類のトークンを鋳造するのは不経済なので,2種類のトークンを交代で流通させ,値上げのたびに切り換えるというシステムをとっていました。
種類は2つで,金色(というか茶色)と銀色。値上げのときは,それまで使っていたものは使えなくなります。これで値上げ前に大量購入する不正を防止しようというわけです。
しかし,庶民もさるもの。物価上昇の激しかった時代,値上げはだいたい2年に一度ぐらい行われますから,使えなくなったトークンを押し入れに大量保管し,再度値上げになってまたトークンの色が元に戻ったとき,押し入れからとりだす。みんなこのような思惑から,値上げが決まるとむしろトークンの買いだめに走ります。
トークン廃止が決まったときは大騒ぎでした(もちろん表向きは騒げませんが)。前に買いためたトークンはもう使えない。かなりの損失を負った人もいたでしょうが,どこに訴えるわけにもいかず,泣き寝入りです。
朴正煕大統領時代,韓国の銀行を信用せずにタンス預金をしていた華僑(おもに中国山東省からの移民)を狙い撃ちにして,電撃的に貨幣切り換えを実施。新旧貨幣の交換については総額,期間を制限し,華僑のタンス預金を一夜にして無価値にしたことがあります。これで大損害を受けた華僑たちは,韓国に見切りをつけ,台湾,香港,米国に散り散りに移住していった。
トークン廃止のとき,かつての華僑の無念さに思いを馳せた韓国人がどのくらいいたか。
それに現金払いはおつりをもらうのに不便でした。
バス会社が運転手を信用していないため,運転手にお釣り用の小銭をもたせない。したがって,1000ウォン札を出したお客さんは,お釣りがたまるまで,運転席のそばで待たなければならない。
運転手は現金払いするお客さんが料金を料金箱に入れる前にすばやく小さなざるを出して,そこに小銭を入れさせる。その小銭でおつりを払うわけです。この行動はお釣りを必要とするお客さんが現れるたびに行われます。あらかじめそれに備えて,現金を別の箱に貯めておけばいいのにと思いますが,そうすると「料金をネコババするのではないか」という疑いをかけられるので,運転手も嫌なのでしょう。お釣りがたまる前に自分が降りるべき停留所が来てしまうと、そのお客さんは涙を飲むことになる。
そんなわけで,客にとっても運転手にとっても,トークンのほうが何かと便利なわけです。
私が韓国に来た1996年は乗車料金が360ウォン。今は900ウォンですから10年で2・5倍になりました。タクシーの初乗りが1000ウォンから1900ウォンですから,バスの値上げ幅のほうが大きいですね。
バス料金はたびたび値上げされ,そのたびにトークンの価格も変わります。しかし,そのたびに新しい種類のトークンを鋳造するのは不経済なので,2種類のトークンを交代で流通させ,値上げのたびに切り換えるというシステムをとっていました。
種類は2つで,金色(というか茶色)と銀色。値上げのときは,それまで使っていたものは使えなくなります。これで値上げ前に大量購入する不正を防止しようというわけです。
しかし,庶民もさるもの。物価上昇の激しかった時代,値上げはだいたい2年に一度ぐらい行われますから,使えなくなったトークンを押し入れに大量保管し,再度値上げになってまたトークンの色が元に戻ったとき,押し入れからとりだす。みんなこのような思惑から,値上げが決まるとむしろトークンの買いだめに走ります。
トークン廃止が決まったときは大騒ぎでした(もちろん表向きは騒げませんが)。前に買いためたトークンはもう使えない。かなりの損失を負った人もいたでしょうが,どこに訴えるわけにもいかず,泣き寝入りです。
朴正煕大統領時代,韓国の銀行を信用せずにタンス預金をしていた華僑(おもに中国山東省からの移民)を狙い撃ちにして,電撃的に貨幣切り換えを実施。新旧貨幣の交換については総額,期間を制限し,華僑のタンス預金を一夜にして無価値にしたことがあります。これで大損害を受けた華僑たちは,韓国に見切りをつけ,台湾,香港,米国に散り散りに移住していった。
トークン廃止のとき,かつての華僑の無念さに思いを馳せた韓国人がどのくらいいたか。
ソウルに来てなんでチャイナタウンが無いのか不思議でした。会社の人に尋ねると、以前差別があったと言っていましたが、ここでその理由の一つが分かりました。でもなぜそんなに嫌われていたのでしょうね。
「差別」には土地所有禁止,財産制限,就職差別などのほかに,チャジャンミョンの値上げ禁止なんていう,信じられない規制があったそうです。
犬鍋さんは10年も駐在されてるんですね
色々と勉強させていただきたいと思います。
まずはお礼かたがた・・・。
これからも記事楽しみにしています