犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

エンミ(塩味)

2024-01-23 00:34:47 | 食べる

 最近よく行くカフェ、Cafecrockにはランチメニューが3つあります。カレーライスと、2種類のパスタ(トマトソース味、ツナ味)です。

 この日はカレーライスをいただきました。2種類のカレーソースのあいがけで、以前にも一度食べたことがあります。

 この店では、空いていればカウンター席に座ります。マスターとの会話が楽しいからです。

 マスターには、最近フィリピンに行ったことを、すこし前に話しました。

「フィリピン料理っておいしいんですか」

「うーん、まあ煮込み料理が中心ですね。煮込むときに血を使ったりもするところが珍しいかな」

「このカレー、フィリピンに持っていったら売れないかな?」

「フィリピンで出すなら、もっと濃い味にするほうがいいと思いますよ」

「あ、うちのカレー味が薄いですか」

 ここのカレーは、マスターのオリジナル。

「いえ、フィリピン人は濃い味が好きだから。日本ではちょうどいいでしょう、ヘルシーだし。ぼくは好きです」


「塩の使い方って、むずかしいんですよね。入れすぎると取り返しがつかないから、つい少なめにしちゃうことがあるんです」

 ところで、最近、テレビなどで「エンミ」という言葉を耳にします。「塩味」を音読みした言葉でしょう。

 以前は使わなかったような…。聞けばわかるけど、私は使いません。

 試みに『三省堂国語辞典』を引いてみると、2008年発行の第6版にはなく、2014年の第7版で初めて立項されています。一般的に使われるようになったのが、比較的新しいことが示唆されます。

 意味は、「しおあじ、しおからさ」

 同じ意味の言葉に、「塩気、塩加減」ある。

 塩味を「しおあじ」じゃなくて「エンミ」と読むと、どことなく料理の専門用語っぽい響きになる気がしますが、個人的な感覚でしょうか。

 幼いころ、明治生まれの祖父が、祖母や私の母が作るおかずについて、

味もそっけもない

と文句を言っていたことを思い出しました。塩加減が足りないという不満の表明です。

 「味もそっけもない」は、辞書によれば「うるおいや、おもむきがない」こと。料理を評するのに使うのは不適切ですが、塩辛い味の好きだった祖父は、「素っけ(おもしろみ)」「塩気(しおけ)」の意味合いをこめて使っていたのだとおもわれます。

 70歳ちょっとで胃癌で亡くなったのは、食生活と関係があったのかもしれません。


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