犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

血食

2012-06-08 23:35:59 | 食べる

 スペインでモルシージャを食べました。

 モルシージャとは、イベリコ豚の血にタマネギ、米、香辛料を入れて腸詰めにしたもの。韓国のスンデにそっくりです。同行のペルー人の好物ということで、スペイン出張のたびに注文します。

 今回食べたのは、輪切りにした後に焼いたもののようで、切り口もカリカリしていておいしかった。色は紫がかった黒。塩味がついていて、ビールによく合います。

 日本には「血食」の習慣がないので、「血」というと顔をしかめる人が多いですが、肉食文化の国ではたいてい血も食材として扱っているようですね。

 私が最初に血を食べたのはフランス。ホームステイをしていた家の夕食に出ました。

「ケスクセ?」(これなんですか)

「それを言うと日本人は食べないから、食べた後で教えてあげる」

 ブヨブヨした極太の黒いソーセージで、ナイフで切るとドロリとした中身が出ます。それを、脇に添えたリンゴジャム(!)と一緒に食べます。見た目と生温さと甘みで、「オエッ」という感じでした。

 二十歳で初めて行った外国でしたので、まだ諸国の奇妙な食材を食べ慣れていなかった。なんとか残さず食べましたが、食後に「血」と聞かされて、いよいよ気分が悪くなりました。

 今ならば、ソーセージそのものは抵抗ないでしょう。しかし、リンゴジャムといっしょというのは避けたい。料理に甘い果物を使うのは苦手です。鶏肉のオレンジ煮とか、パイナップル入り酢豚とか…。

 韓国で出会ったスンデは、むしろ好物の一つでした。やはり血で作った腸詰めで、米や麺(春雨)が入っています。昼御飯だったら「スンデクク」(鍋)。残業時間には茹でたスンデに塩をつけて食べるのが美味。

 日本ではあまり見ないけれども、会社の近くに最近できた韓国家庭料理の店にスンデククのメニューがありました。「限定10食」と書いてあるのに、いつ注文しても品切れでないのは、注文する人が少ないからでしょう。

 新大久保のバーは、近くの韓国料理屋からつまみの出前をとることができるのですが、そこにもスンデがある。それで私がスンデを注文しようとすると、バーのアジュンマは「あそこのはおいしくない」と言って、近所の韓国食材スーパーで買ってきたスンデを電子でチンしてくれます。

 おいしいのはおいしいですが、一人で食べるには量が多い。最後はげんなりしてしまいます。行くたびに、「スンデありますよ」と言われますが、最近は遠慮しています。


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