写真:2002年ワールドカップ、韓国-スペイン戦。ゴール取消に抗議するスペイン選手
ワールドカップがあるたびに、過去の大会での出来事を思い出します。
なんといっても、私たち家族が韓国に滞在していた時にあった2002年日韓共催大会が最も思い出深い大会です。
開会式での悔しい思い出は以前書いたことがあります。
ワールドカップ開会式の思い出
このとき、韓国は今回のモロッコ同様の快進撃を続け、グループリーグではポルトガルを、決勝トーナメントではイタリアを撃破。
韓国戦の街頭応援は、韓国が勝ち進むごとに盛り上がり、市庁前広場には赤いシャツを着たサポーターが何万人も集まるようになりました。
私の会社の事務所は、市庁前に面したコリアナホテルのすぐ裏。昼間の試合では、鳴り物入りの応援と大歓声でうるさいことこのうえない。
社員は女性が多くて、サッカーにはあまり関心がないはずですが、韓国の試合中は仕事にならないので、会社のテレビをつけっぱなしにして、観戦OKとしました。
準々決勝ではスペインと対戦しました。
ところが試合があった土曜日、私は会社の女性社員の結婚式に呼ばれていました。
「テレビ観たいけど、仕方がないか」
結婚式場に行ってみると、会場は閑散としていました。
韓国人の知人は、結婚式よりも韓国-スペイン戦を優先したのだと思われます。親戚さえも来ていない人がいるようでした。
結婚した当人も、ワールドカップ期間中であることは知っていたはずですが、まさか韓国がベスト8まで勝ち上がるとは思っていなかったのでしょう。
韓国の結婚式は日本に比べると簡素で、盛大な披露宴があるわけでもなく、招待されても行かなかったりすることがよくあります。
結婚式が終わり、集合写真を撮った後、教会の食堂の「カルビタンの食券」を使うこともなく、私は会社の上司の日本人とともに東部二村洞の家に急ぎました。
ところが、タクシーがつかまらない。
空車なのに、手を上げても止まらないのですね。乗車拒否です。
きっと、運転技士(韓国では運転手をこう呼びます)たちも、技士食堂(キサシクタン、タクシー運転手がよく利用する簡易食堂)でテレビ観戦したかったのでしょう。
結局、大衆交通機関(バス、地下鉄)を乗り継いで家に帰り着いたのは、0-0のまま延長戦に入ったところ。幸い、PK戦(5-3で韓国勝利)は見ることができました。
結婚した当人にとって、一生忘れられない結婚式になったはずです。
なお、その女性社員はその後、文芸雑誌に投稿した小説が賞をとり、作家活動に専念するために退職。
日本の芥川賞と同じような権威のある李箱(イサン)文学賞をはじめ、さまざまな文学賞を総なめにしました。今では日本をはじめ各国語に翻訳され、最近、アメリカの文学賞もとったそうです。
写真:韓国の小説家、片恵英(ピョン・ヘヨン)さん(白水社より)
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