写真:韓国のフナパン
韓国人の知り合いと、銀座木村屋のあんぱんを食べながら、話をしていました。
「韓国でも、あんこ、食べますよね」
「はい、プンオパン붕어빵とか」
「プンオパンは日本ではたい焼きですね」
「そうなんですか。韓国はプンオ붕어だから…」
「フナでしょう。で、それに金をつけたクムプンオ금붕어が金魚。プンオは漢字がありましたっけ?」
「たぶん純ウリマル(固有語)だと思いますよ」
日本のたい焼き。韓国のフナパンとの違いがわからない…
その日の夜、その韓国人女性からLINEが入りました。
「間違ったこと教えました。プンオは鮒魚(プオ부어)がなまったもので、もとは漢字語でした」
(日本語の鮒(ふな)と同じ漢字か…)
音の似た魚の名前に、ポゴ복어とかプゴ북어があります。
ポゴ복어はフグ(河豚/鰒)のこと。漢字で鰒魚という説もありますが、標準国語大辞典には漢字表記が載っていません。
フグを食べる習慣はおそらく植民地時代に日本から入ってきて、日本語のフグの漢字表記の一つである鰒を韓国音読みしたものでしょう。でも「鰒」はもともとあわびを表す漢字だから不適切ということか、日本から入った名前なので隠蔽されたものか。
ふぐ鍋はポゴタン복어탕。韓国では比較的高い鍋ですが、日本のふぐ鍋に比べるとぐっと安いので、韓国にいたときはときどき食べました。韓国人はメウンタン(辛い鍋)が好き。日本人同士で食べるときは、唐辛子を入れずに「チリ」(チリは韓国でもそのまま通じます)にしてもらったりしました。
プゴ북어は漢字で北魚。スケトウダラの干物ことです。これを鍋にしたものがプゴクク。武橋洞(ムギョドン)に名店があってよく食べに行ったものですが、今あるかどうかわかりません。
韓国便り~市内観光
韓国の魚の名は、上記のようにオ(魚어)で終わるものが多い。そのような名前は漢字語起源で、中国や日本の呼び名が元になっているようです。
それ以外にチ치で終わるものがあります。チャムチ(まぐろ)、サムチ(さわら)、カルチ(たちうお)など。これらは固有語起源です。
スケトウダラの干物はプゴですが、干物じゃないものは、ミョンテ명태(明太)。日本の明太子の明太ですね。
そして、マダラは대구(大口)。
明太と 大口は、漢字語なのに、-魚で終わるわけではないという点で、例外的です。
日本語でタラには鱈という漢字がありますが、これは国字(中国になく、日本で作られた漢字)。身が雪のように白いからだとか、雪が降る季節だけ獲れるからだとかいう説があります。
辞書によっては「大口魚」という漢字を載せているものがあり、これは韓国語の大口と同じ。
精選版日本国語大辞典によると、 大口魚の用例は『和漢三才圖會』(1712年)にあるそうです。さらに『和漢三才圖會』は、タラの漢字として「㕦魚」を挙げており、『東醫寶鑑』から「大口魚」を引いています。
『東醫寶鑑』は李氏朝鮮時代の医学書(1632年)。
タラの漢字表記「 大口魚」は、どうやら朝鮮半島から入ったもののようです。
㕦は、一見するとハングルのようですが、口の下に大を置いた漢字で、明代の中国の字書にあるそう。
これを上下逆にした漢字(大の下に口)が朝鮮にあって、それは朝鮮で作られた「国字」なんだそうです。
タラ鍋を韓国語でテグタンといい、海鮮の店によくあります。割と安くて庶民的な食べ物ですが、日本の韓国料理店ではあまり見かけません。
ソウルでは、大口湯のおいしい店が三角地にありました。大統領府が三角地に移転した後、この店がまだあるのかどうか、確認できていません。
出張時、三角地に行くことができたら、ブログで報告します。
9月に出張されるのですね。三角地なら봉산집とどちらに行くか迷いますね。笑
9月末に韓国出張予定なので、行ってみようかな。
竜山駅前のカムジャタンは、ガラス窓とともに、再開発でなくなっていました。
僕は写真のお店(チャム元祖テグタン)の奥に有る、
ウォンテグタンが行きつけでした。
確かに日本では食べれないですよね。久々に行ってみたいです。