写真:バナウェ(イフガオ)の棚田
この日、見物に行った棚田は、「コルディレラ棚田群」として世界遺産に登録されており、多くの観光客が訪れます。
移動は車。D(三女の夫)がどこかから借り出してきたISUZU車。かなり古い年式ですが、車体には「Official Use Only」と書かれています。
「これ、きのうの結婚式の主賓の叔父さんから借りたんです」
Dのお祖母さんの弟で、イフガオ州のboard member(理事?)。
「おじさんは、この町でいちばん偉い人らしいです。キアンガンの町長より偉いって」
「でも、この車、 Official Use Onlyって書いてあるよ。私用で使って大丈夫?」
「大丈夫ですよ。今晩、叔父さんの家に夕食に招かれています」
イフガオの交通手段は車か、トライシクル。
トライシクルというのは、子ども用の三輪車ではなくて、オートバイの横にサイドカーをつけたミニタクシー。サイドカーには3人が乗車できます。
私たちも、結婚式場の下見に行ったときに乗りました。窓や扉がなく、かなりスリリングな乗り物です。
棚田が見られるバナウェは、キアンガンから車で1時間ほど。
低速のトライシクルを追い越したり、道を歩いている動物たち(犬、猫、鶏)をきわどくよけながら、坂道を登り続けます。
道路には信号がなく、カーブにはミラーもありません。この道を運転する勇気は、私にはありません。
イフガオには交通信号は「ひとつも」ないそうです。
景色のよいポイントには駐車場があって、写真をとったり、民芸品などのお土産を買ったりすることができます。
時刻はお昼時。
「レストランで昼食にしましょう」
しばらくして、少ししゃれたレストランが見えてきました。
「あっ、叔父さんの車だ。体調不良で、きのうの結婚式には来られなかったんですよ」
この叔父さんというのは、ダニエルのもっとも親しい親族で、バナウェよりももっと山奥のフンドゥアンという町に住んでいます。前回、私たちが来たときは、家に招かれて食事をごちそうになりました。お土産は「金属探知機」。
「こんなところで、偶然、会えるんだ」
「いや、もちろん事前に連絡して、ここで待ち合わせたんです」
「なーんだ」
叔父さんは、昨年の雨季、このレストランの近くで鉄砲水が出て、流された建物がたくさんあったということを、自分のスマホに保存してあった写真を見せながら、説明してくれました。
レストランにも犬がうろうろ。台の上に寝ている猫もいました。
「犬がいっぱいいるけど、なんで?」
「番犬として飼うんです」
Dのお母さんが説明してくれます。
(でも、こんなおとなしいんじゃ、番犬の役には立ちそうもないな)
D「食べる人もいるらしいです。普通は食べないけど」
私の想像では、ここにいるおびただしい数の犬や猫は、人間たちの「残飯処理」の役を果たしているんじゃないでしょうか。
実際、フィリピンにいる間、ゴミ収集車をほとんど見かけませんでした。生ごみは、犬・猫のエサになるか、肥料として農業用に活用されているのでしょう。
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