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ベルギー人は働かないか




学部生の頃読まされた「豊かさとは何か」(岩波新書85)。


少々感傷的すぎるヨーロッパ万歳本で、真面目に取り合うのがアホらしかった記憶がある。


この本が書かれた頃、日本はまだ「明日は今日よりもっと良くなる」の最終コースを走っていて、諸外国が「rising sun」などと日本の経済成長を揶揄しつつ恐れていた...
今となっては遠い昔のことのようだ(笑)。
この本は「働き過ぎ日本人」のカウンター・パート、「経済大国のわりには国民が生活に豊かさを感じられない日本」への警告だったわけだ。


ところで。
本当にベルギー人は仕事はそこそこにして、趣味や家庭を大切にするのか。

実はこれを書いている動機も、今夜のパーティーでそういう話題になったからだ。
「4時になったら退社、病欠はあたりまえ、バカンスは年間数ヶ月しっかり取る。休日出勤、残業なんて論外」。
えええっ~本当?

そういう人たちも確かにいる!うらやましい...


ベルギーには大雑把に分けてワロン系とフラマン系の人間がいることになっている。働き方などのライフ・スタイルにも特徴があり、ゲルマン系*フラマンはラテン系*ワロンよりも多少は勤勉(日本人はもちろんフラマン人よりもずっと勤勉)と言うが...

実際、会社で両系を部下に持つ駐在の日本人に言わせると、この分け方、面白いようにあてはまるそうだ。で、彼らは口を揃えて「(全体的に)ほんっと、ベルギー人って働かないよ~」と言う。
確かにわたしにもそういうイメージ、ある(しかもたっぷりある余暇を有意義に過ごしている人は少ない...余計なお世話だが(笑))。

でもちょっと待った!あまり働かないのは彼らが「使われている」立場だからなのでは?責任が少ない立場だからでは?


わたしの周りの自営業、自由業、そして管理職の人たちは、ベルギー人でもそりゃあ馬車馬のように働く。ベルギー人でなくてもフランス人でもそうなのだが...なんとなれば自分が働かないと会社が回転しないし、従業員が路頭に迷ってしまうから。当然のことだ。

最近は日本の雇用形態も労働者の感覚も変わってしまったようだし、動機もこれまた別問題とするとして、日本人はハイエラルキーの上から下まで全員が比較的よく働くが、ベルギーではポジションによってはよく働く、と言った方がいいのかもしれない。


今夜のホストは開業医でしかも公職に就いている、めちゃくちゃよく働くベルギー人だったので、こうしてベルギー人=働かない神話をフォローしておこう(笑)。


(*ゲルマン系、ラテン系という分け方は現代では便宜的な物差しで、人種の差というより使用言語の差とでも言うべきだと思います。)


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