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シュークリームは日本の味




今年の夏の日本でも食い倒れた。

わたしは毎日お鮨を食べるのが夢だった。東京にいるときは毎日銀座で出費を惜しまず江戸前鮨をいただき、神戸でも江戸前をいただき、満足...いや、満足するどころか、今喪失感でいっぱい。


夫が日本で毎日食べていたものは。

シュークリームだ。

シュークリームはもとはフランスのものだが、現在のフランスではほとんど見かけることはない(エクレアやパリ・ブレストはどこにでもある)。ベルギーでポピュラーなのはプロフィトロールになる。


ある夜、東京駅だったか駅中にある紀伊国屋で、わたしが「おいやし」(<関西弁?)に買って、それを半分食べたのがきっかっけだった。
それからはシュークリームを毎日食べると宣言し、ホテルの近所のコンビニから、シュークリーム専門店、デパ地下、老舗ケーキ屋のものまで、いたるところで購めていた。その割にはどこのが一番おいしかったかは覚えていないらしい。「どれもとてもおいしかったから!」だと。


神戸には夜中まで営業しているケーキ屋さんがたくさんあり、昔はケーキ屋さんはネオン街に明かりがつく頃には閉まっていたはずなのに、これは比較的新しいトレンドなのだろうか。
まあ神戸のにしむら珈琲などは23時まで営業していて、飲み歩かなくなった今ではここでコーヒーでシメというのがわたしの好きな夜の過ごし方ではあったのだ。

いわゆるケーキ屋さんだけでなく、飲屋街東門筋にはお酒とケーキのバア(なんと朝5時まで営業)があったりして。
夫は夕食にお鮨(笑)を食べた後、ここでもシュークリームを買って歩きながら食べた。
朝まで開いているケーキ屋さん...まるで夢の中を歩いているかのようだった。満腹でなければケーキ・バア、入ってみたかったなあ。次は親友と入ってみたいなあ。




先日、彼の誕生日だったので、こちらではなかなか食べられないシュークリームを焼いた。
わたしは上に薄いサブレ生地をのせて焼いたこのタイプが大好きだ。
当日、アーモンドスライスをのせるのを忘れたので、今日は絶対にのせるぞと目の前において再び挑んだのだが、リヒターの奏でるバッハを真剣に聞いていてやっぱりまた忘れてしまった。 

明日からこの夏最後の旅行(この秋最初の旅行?)なので、お隣であるパーティーに持って行こう...


この、こちらではすっかり忘れ去られてしまったようなケーキを孫に作ってやるのがわたしの夢。
ばあさまの家でしか食べられないシュークリームね。
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ブルージュの甘味 




昨日はブルージュの地元民に人気のジャンクフードを紹介した。今日は甘いものを。ブラハリング(ブルージュっ子)は甘いもの大好き!

老若男女に一番人気のおやつといえば、絶対にワッフルかパンナクック(クレープ)だろう。

ワッフル店には必ずといっていいほどパンナクックがある。
パンナクック店にも必ずワッフルがある。
ケーキ屋さんにも両方あるところが多い。

そしてどちらを注文するかウンウンうなるのがブルージュっ子なのである。

ワッフルには、店先で立ち食い前提で売られているイーストの入った重めの生地(が裂けるようなものがうまいのである)パール砂糖入りリエージュ・ワッフルと、着席して食べる軽くてサクサクのブリュッセル・ワッフルがある。が、パンナクックは常に着席して食べるものである。パリのクレープ屋台のようなものはない。
そういえば日本ではリエージュ・ワッフルはよく見かけるが、ブリュッセル・ワッフルに遭遇したことはないな...


わたしは粉砂糖をかけただけのシンプルなパンナクックが好きだ(上写真はデュークス・パレスのパンナクック。小さい容器の中身はブラウンシュガーです)。
ワッフルと同じで、生クリーム添え、アイスクリーム添え、チョコレートソースかけ、ジャム、フルーツ、いろいろな種類がある。ヴラームス・ポットDe Vlaamsche Potなどの専門店ではベーコン入り(これがお好み焼き風味なんです)や、チーズ入りなども。





あるいはアイスクリーム。マルクト広場からのびる商店街ヘルドムント通GeldmuntstraatりにはダヴィンチGelateria Da Vinciという老舗があり、夜中まで地元民で賑わっている(冬季長期休暇あり)。

もう一軒、わたしが昔から好きなのは、同じくマルクト広場からのびる商店街ノードザンド通りNoordzandstraatにあるアイスベアDe ijsbeerのもの。
今年の夏はマルクト広場にかわいらしいアイスクリームバンを出していた。
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ブルージュのソウルフード (ブルージュのジャンクフード)



鐘楼の正面入り口両脇にひとつづつ屋台がある


ブルージュっ子のことをブラハリング(Bruggeling)と呼ぶ。

ブラハリングのソウルフードといえば、間違いなく10人中8人くらいまではこれを上げるだろう。

フリッツ(フライドポテト)だ。

「フレンチフライ」という呼び名が膾炙しているが、駐屯中の兵士がフランス語圏ベルギーでこの食べ物に出会い、故郷に持ち帰ったからだかとかなんとか...食の歴史的にはベルギーのものだそう! 
まあ、国境などはウエストファリア条約以来できたもので、農地を耕す住人にはっきりとした「フランス」「フラマン」「ワロン」意識があったわけではなく、このあたり一帯で広く食べられていたものではないかと思うの...


まあそれはそうと、ブルージュっ子のソウルフード、屋台のフリッツ、である。

うちは帰省したらまずはマルクト広場鐘楼前の屋台でフリッツを食べる。
ソースは必ずマヨネーズ系、マヨネーズか、ピリ辛のサムライ・ソースかを!
観光地のど真ん中だが侮るなかれ、こちらのフリッツは美味いのである。お腹が空いていたら十割り増しでうまい。

みなさんもぜひこちらでフリッツ・マヨネーズを買って、マルクト広場で立って召し上がって頂戴。

この揚げ物全般を売る屋台の主戦力はもちろん揚げイモフリッツだが、揚げイモの他にさまざまな揚げ物を売る。
例えば人気の一翼は、ビッキー・バーガーというハンバーガー(下写真)。



この夏、日本で以前ブルージュ駐在だった方々とお会いしたら、美食家さえもみな口々にビッキー・バーガーが懐かしいとおっしゃる。
ビッキー・バーガーは地元の若者には間違いなく大人気だし、大人も飲んだ後、旅行から帰ってきた深夜などに無性に食べたくなる類の怪しい食べ物だ。

まず肉が怪しい。練り物系肉を揚げてあり、3種類のビッキー・ソース(ビッキー・ドレシング、ビッキー・トマト、ビッキー・ホットソース)とガーキン(ピクルス)、揚げた玉ねぎ入りが基本。さらに変わりタネのビッキー・ロワイヤルやビッキー・クリスプなどもある。

娘が「母親に禁止されていまだかつて食べたことがない」と憤慨して訴えるので(わたしも実は食べたことがなかった)、今回初めて食べてみた! 
ちなみに夫は、この怪しい肉をソーセージ型に整形して揚げた「フリカンデール」(上写真真ん中)を食べていた。こちらも人気があり、おすすめ。わたしは玉ねぎみじん切りをまぶした「フリカンデール・スペシャル」なら食べられる。


これらを食べたのはブルージュっ子ならみな知っている、高速道路入り口近くのボスランドBosrandだ。元駐在の方々もこの店をよく覚えておられた。
こちらはもともと屋台だったが火事にあい、今では店舗になっている。ベルギーで一番おいしいフリット・コット(揚げ物屋台、店)に選ばれたこともある。

ティーンを2人持つ、夫の幼馴染に聞いたら、彼らの一押しはFrituur De Biezenだ。15歳の美形のぼっちゃんが、恋人を語るようにビッキー・バーガーを語るのはビデオに撮っておきたいくらいだった(笑)。


とにかく、ブルージュではブラハリングのソウル・フード、揚げ物屋台のフリッツを召し上がってください。好奇心溢れる方はぜひビッキー・バーガーを。挑戦するなら飲んだ後、深夜ですよ、絶対。夕食後、散歩に出て、バアで地ビールを飲み、最後にマルクト広場でフリッツかビッキー・バーガーを食べる。


明日は甘いものでも...
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ブルージュの道化者(ブルージュの地ビール)




ベルギーといえばビールを連想される方も多いだろう。

ブルージュで地ビールを召し上がったことはおありだろうか。

昔から有名なのはストラッフェ・ヘンドリック(Straffe Hendrik)。
三日月(De Halve Maan)のマークの黒いQuadruple11%と金色のTripel9%を醸造する。
ベギン会にも近いウォル広場に醸造所があり、そちらで召し上がった方もいらっしゃるのでは。

比較的新しく作られたのがブラハス・ゾット(Brugse Zot)ブルージュの道化者。”ゾット”は馬鹿者とかお調子者という意味もある)で、道化師のマークが目印だ。金色のBlondと茶色のDubbelがある。

そしてこのシリーズで最近販売され始めた、アルコールフリー(0.4%)のスポーツ・ゾット(SportZot)。

アルコールフリービールでも、こちらの醸造所が2年かけて開発した味だそうで、なるほどアルコールフリービールの味気なさがない。アルコールフリーだと言われなければわからないと思う。
ベルギー人の夫の友達らも絶賛。まあ酒豪そろいの彼らの中にアルコールフリービールを飲む人なんていませんがね...


われわれ夫婦はブルージュに住んでいた頃は、毎日近所のホテルのバアで一杯飲むという生活を続けていたものだ。しかしこのままではじわじわ身体がやられるのではと断酒したのがもう数年前。
日本で久しぶりに友達に会った時の乾杯のシャンパンや、ものすごくいいワインをすすめられたときなどは遠慮なくいただくが、365日、クリスマスも正月も飲まなくなった。

もともとわたしはビールは好きな方ではないけれど、やはりブルージュの暑い日の夕暮れにテラス席に座ってとか、味の濃いジャンクフードを食べる時には飲めたら飲めたで幸せ。これからは迷わずスポーツゾットが飲める! うれしい! 


帰り道、スーパーに寄って(車だったので)英国にも持ち帰った。ちなみにこのスポーツ・ゾット・ノンアルコールビールはアルコールビールよりも高い(笑)。


アルコールフリービール、冷えてます。
ブルーの器は日本の親友が焼いたもの。
お客さんの時に氷を詰めてこのようにクーラーとしても愛用


白ビールの有名どころフーハーデン(Hoegaarden)のフルーツ味の系統は早い時点でアルコールフリーのビールを出した。これらは甘くてジュースのよう。カロリーの方が気になってあまり飲みたくない。おいしいのはおいしいですよ、ただ、ビールではない。

白ビールといえば、ブルージュの地ビールの白、ブラハス・ターワービア(Brugs Tarwebier)というのがあります。ブルージュでフーハーデンを頼むと、「うちはブラハス・ターワービアだけど、いい?」と聞かれることもしばしば。こちらもおいしいです!


アルコールを召し上がらない方はぜひブルージュでスポーツ・ゾットを。
ムール貝にもフリッツ(ポテトフライ)にも合いますよ! おすすめです。
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運河が交差するところへ(ブルージュ観光)




秋に旅行を予定なさっている方からメッセージをいただいたので、今日からこちらでもおすすめをいくつかご紹介します。

まずは先週のブルージュ滞在中、人の少ない静かな、しかもブルージュらしいエリアを歩いたルートを。


わたしのおすすめは、まずマルクト広場からヴラーミング通り(Vlamingstraat)をとり、ブールス(Huis Ter Beurze)のある地点で右折、アカデミー通り(Academiestraat)つきあたりのヤン・ヴァン・エイク広場(Jan Van Eyck Plein)まで行く。この地点で観光客はだいぶ減る。

運河沿い両脇に伸びるスピノラ・レイ(Spinalrei)かスピーヘル・レイ(Spiegelrei)を200メートルほど歩くと、運河が左右に分かれる地点に出る。
この風景を楽しみ、左折し、さらに左折した点でホウデン・ハンド・レイ(Gouden-Handrei)沿い(上写真)をメムリンクの像の立つ、水曜日マーケット広場まで(Woensdagmarkt)歩く。

晩夏の午後、乳母車を押しながら携帯電話を見ている若い父親とすれ違った後は誰も歩いていなかった。
これでまたヤン・ヴァン・エイク広場(Jan Van Eyck Plein)に戻って来られる。

ホウデン・ハンド・レイ(Gouden-Handrei)は後回しにして左折してためらわず直進、ポッタリー・レイ(Potterierei)を辿ってOur Lady of the Pottery教会に行くのもいい。

ちなみに右折するとセント・アナ・レイ(Saint-Annarei)で、こちらを歩いてラング通り(Langestraat)に出、右折してブルグ広場に戻ってもいい。

右折も左折もせず直進するとブルージュ最古のカフェ(フラマンではカフェといえば酒の飲めるバアのこと)Vlissinghe(Blekersstraat2)がある。こちらはもちろん観光客が多いが。


いつかブルージュ・スタイル・ツアーができたらいいなあ。
ブルージュが欧州一繁栄した15世紀ごろへタイムスリップするような。
参加してくれる人いるかな?!

......


夏の終わりだからか、あるいは小観光都市ブルージュの常なのか。
愛の湖まで散歩しながら途中懐かしい店でワッフルを食べようと、うっかり聖母教会のあるカトレーヌ通り(Katelijnestraat)からベギン会(Begijnhof)にかけてのエリアに足を踏み入れたら大変な混雑にはまってしまった。

目指したワッフル店はもともと地元民が行くような店だったが、英国のガイドブックに載ってからは倍々で観光客が増え、今回は2組の団体ツアー客が入っているので席が用意できないと言われた。
よく知っている店のマダムは店先にはいなかった。

ブルージュでは毎年確実に観光客と観光客向けの店は増え続けている。
観光産業で成り立つ小都市としてはありがたいことなのだ。
が、例えばカトレーヌ通り(Katelijnestraat)からウォル広場(Walplein)へ抜ける小道は以前は混雑よけの抜け道だったのに、今では観光ルートになってしまったようで、文字通り立錐の余地もない。

産地も怪しげなチョコレート店もさらに増え、地元民は決して利用しないような軽薄な飲食店がわらわらと増えていて、あまりに度がすぎるとブルージュをブルージュたらしめている要素が消えてしまうのではないか危惧してしまう。

観光に来る人たちは世界中どこにでもある店や、リピート客を勘定に入れていないいいかげんな店で買い物をしたり食べたりしたいわけではなかろう。
地元民がゆったり食事をする馴染みの店、子供の頃から知っているチョコレート店を求めているのではないのか。

短期的な経済的成功を求めてのみ出店していては、その基盤としての都市が荒れてしまう。
特にグローバル企業は地元の永続的な福利的・文化的繁栄などハナから気にしていないので長期的にはさらに悪いことになる。

バランスを取るのは難しい。
何を目指すのか。
短期的な経済的成功を求めるのか、あるいは子どもら孫らの世代に責任を持ち、どんなバックグラウンドの人間でもよりよく生きられる成熟した世の中を目指すのか。
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